【インハイ・ピックアップ選手】16強越えに必要な攻撃の要、長崎海星FW平野皓巴

インターハイ2014

長崎海星のFW平野皓巴 [写真]=森田将義

「皓巴」と書いて、“つくば”と読む。他では見かけないちょっと珍しい名前の由来は両親がサーキット好きだったため、筑波サーキットに因んでつけられたという。姉の二人の名前は「すずか」と「もてぎ」。こちらの由来は言うまでもないだろう。小さい頃はサーキット場によく連れていかれたという男の子が選んだのは、サッカーの道。長崎海星のFW平野皓巴はサーキット上ではなく、ピッチの上を颯爽と駆け回っている。

 大会直前まで股関節を痛めていたが、何とか調整し、1回戦の工大福井(福井)戦に間に合った。だが、この試合で足を踏まれ、今度は足の甲を負傷。2回戦の高岡第一(富山)戦の当日の朝、目覚めたら、「歩くだけでも痛かった」ため、スタメンを回避した。

 仲間たちの戦いをベンチから見守った前半は押し気味で試合を進めながらも得点が奪えないチームを、「自分が入ればボールをおさめて、ラストパスなど決定的な仕事をしようと思っていた」と見守った。

 膠着状態を崩すべく、後半の頭から投入された平野は「スピードもあるし、独特の感覚を持っているので、ボールを運ぶのが上手い。加えて、他の人に出来ない間合いでボールを裁けるのも魅力」(濵口徳彦監督)という持ち味を存分に発揮。サイドに流れながら、力強いドリブルで相手DFを引き寄せ、ラストパスを繰り出した。

 昨年の東京国体で長崎選抜の一員として3試合で3得点を奪って、注目を集めたように“自らのゴール”に拘る選手だったが、「昨日の初戦で4人が得点して、誰が得点しても良い。勝つ事がまず大事なので、自分ではなく、チームメイトが決めれば良いかと思えるようになった」と意識の変化も生まれた。結果としては得点が奪えず、PK戦での勝利となったが、後半に入ってから、長崎海星の攻撃が勢いづいたのは警戒が強まるエースという立場を活かした囮のプレーや、周囲へのパスなど平野の存在が大きかったからだ。

 ただ、まだ本調子とは言えず、未だノーゴール。「正直、得点は欲しい」と苦笑いを浮かべたように、ストライカーとしての本能もうずいている。今日の勝利で、チームの最高記録だった2011年の秋田インタハーイで樹立したベスト16という記録に並んだ。「本当は日本一って言いたいんですけど、先を見ても意味がない。これに満足する事なく、次もしっかり勝って、歴史を塗り替えたい」と力強く話す。そのためには、平野の更なる活躍が欠かせないはずだ。

(文=森田将義)

モバイルバージョンを終了