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【インハイ・ピックアップ選手】闘争心溢れる野洲の“メッシ”、2年生FW村上魁

2014.08.04

164センチの小柄なテクニシャン、FW村上魁 [写真]=川端暁彦

「ああいう選手、“メッシみたいな選手”は野洲が育てるしかないやろ」

 野洲を率いる山本佳司監督はそう言ってニヤリと笑った。3回戦の広島皆実戦は試合としては悔いの残る内容だろう。「研究されていた」(山本監督)パス回しをつぶされてのショートカウンターを受けるなどして早々に3失点。一時は守備陣が壊乱状態に陥ってしまった。ただ、「ウチらしさは見せられたかな」と指揮官が振り返った後半は、持ち前の個人技に加えて周囲の動き出しも噛み合って広島皆実を圧倒。押し込み続ける展開に持ち込んでみせた。

 その中心にいたのが、FW村上魁だ。攻撃陣の中核を担う背番号10は、巧みなスキルと前へ向かう姿勢を貫徹し、相手DFに囲まれても余裕すら感じさせる“いなし”を披露。広島皆実が冷や汗をかく展開に持ち込めたのは、この個性によるところが大きかった。「やっていることがまさにメッシ。技術以上にマネすることができない闘争心、メンタルを持っている」(同監督)。先のW杯を観ていて山本監督が痛感したのはそうした精神面だったと言う。

「やっぱりメッシなんかは余裕があるじゃないですか。日本の選手もしゃかりきに頑張っていましたよ。あれで頑張っていないなんて言う人はどうかしている。でも、あれだけの舞台で自分を出せるかどうか。そういうメンタルがあるかと言えば、どうだったか。あの日本人離れしている本田圭佑ですら、持っていなかったかもしれない。でも、持っている選手はいるんですよ」

 もちろん、村上が簡単にメッシになれるとは山本監督も思ってはいまい。ただ、「どうせ日本人はメッシにはなれない」なんてことも思っていないに違いない。見るからに奔放な10番をどう磨くのか。無限の可能性とある種の危うさも感じさせた164cmの小さなテクニシャンを「野洲」という場でどう化けるのか。楽しみにしたいと思う。

(文=川端暁彦

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