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全少覇者のC大阪、U-12ワールドチャレンジでの挑戦と手にした収穫

2014.08.31

非凡なプレーを見せた「セレッソの8番」、MF川上航立 [写真]=川端暁彦

 全日本少年サッカー大会の王者として、このジュニアサッカーワールドチャレンジへ臨んだセレッソ大阪U-12。大きな期待を背負うことになってしまった大会は、結果としてACミランに1-2で敗れるなどグループ3位。決勝ラウンド進出はならなかった。

 敗因は複数あるだろう。一つは得点源だったFW吉田有志が成長痛のために離脱していたこと。また、もともと6年生が10人という全日本少年サッカー大会の8人制サッカーに合わせた形での少人数制を採用しているため、11人制となると純粋な駒不足に陥るという問題もあった。下級生を起用していたC大阪に対し、同グループの東京ヴェルディは逆に中学1年生の早生まれ選手を起用しており、ミランも体格自慢の選手がそろうチーム。フィジカル面での劣勢は否めなかった。

 大谷武文監督も結果については「残念」としながらも、「僕らはU-13からの11人制につなげるために段階を踏んだ育成をしている。順序を踏んでいるわけで、悲観することはない」と語る。またミランとやれたことは大きな収穫だったようで、「あんなFWのスピードなんて(日本では)まず経験できない。今までのような準備だとやられるのが分かったと思う」と語る。

「ボールを奪う」ことを重んじる指導をしているC大阪にとって、リーチが長く、肉体的に頑健なミランの選手との対峙は貴重な経験値だった。ただし、その解決策として「1対1では奪えないから集団で守る」という方法論は採用しない。「ウチは基本1対1で守らせる。まず1対1で守るという意識がないとダメだと思う」(大谷監督)。この大会に向けて集団で守る意識付けを強めれば、ミラン相手にも守るやり方はあったかもしれない。ただ、それでは「1対1でボールを奪える選手」を育てることにはつながらない。そんな信念あっての挑戦だった。

 そして何より、C大阪は負けっ放しで終わったわけではない。どうしてもモチベーションの落ちる敗者戦だが、その最後となった甲府U-12戦。C大阪の選手たちはひたむきにゴールを目指し、PK戦でも粘り強く戦って見事に勝利を収めた。「最後の試合で出し切れた。あれが今大会の一つの収穫だと思っています」。大谷監督はそんな言葉で、大会を総括してくれた。

文=川端暁彦

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