1ゴール1アシストと活躍した中央大MF砂川優太郎 [写真]=平柳麻衣
関東大学1部リーグ第18節が18、19日に各地で開催。味の素スタジアム西競技場で行われた19日の第2試合では、慶應義塾大学と中央大学が対戦した。
7勝6分け4敗の勝ち点27で6位につける慶應義塾大は、後期開幕戦で桐蔭横浜大に勝利して以降、5試合勝ち星に見放されている。全日本大学サッカー選手権(インカレ)出場権を争う5位国士舘大、7位駒澤大とは勝ち点で並び、少しでも差をつけたいところ。対するは、2勝2分け13敗の勝ち点8で最下位に沈む中央大。1927年の創部以来、元日本代表FW福田正博や川崎フロンターレMF中村憲剛など、多くの選手をプロの世界に輩出してきた名門校が、降格の危機に立たされている。状況は異なるものの、勝ち点3が欲しい両校の一戦は、0-2で中央大が勝利。逆転残留への望みを繋いだ。
試合後、慶應義塾大の須田芳正監督は「残留争いをやっているチームが一番怖い」とポツリ。前節も、残留争いの渦中にいる東京国際大とスコアレスドロー。同じ轍は踏まぬよう、準備を徹して臨んだはずだったが、要所でプレーにミスが目立つ。「ずっとメンバーを固定しているので疲れもある。攻撃の大胆さや、点が入るような雰囲気はなかった」と振り返った。
前半をスコアレスで折り返して迎えた後半、先にペースを握ったのは慶應義塾大だった。2分、CKのこぼれ球をDF久保飛翔(3年・済美高校出身)がシュートするも、中央大のGK前田将(4年・常葉学園橘高校出身)がセーブ。6分、ゴール前でDFをかわしフリーになったFW川田悠介(4年・桐蔭学園高校出身)が横パスを送るも、味方は誰も反応できない。直後には、右サイドバックの保田隆介(4年・横浜F・マリノスユース出身)からのクロスをフリーで受けたFW端山豪(3年・東京ヴェルディユース出身)がシュートを放ったが、これもGK前田にキャッチされた。
苦しい時間を堪え凌いだ中央大は、佐藤健監督代行の選手交代が冴え渡る。56分に投入されたMF飯干雄斗(2年・JFAアカデミー出身)を中心に次第に試合の主導権を握り、62分には186cmの長身FW矢島輝一(1年・FC東京U-18出身)を投入。戦術が明確になり、矢島のポストプレーを起点に二次、三次攻撃を仕掛けてチャンスを作る。均衡が破れたのは82分。「ピンチの後にはチャンスが来ると思っていた」という中央大の10番、MF砂川優太郎(4年・サンフレッチェ広島ユース出身)の左CKのボールを、DF縣翔平(2年・青森山田高校出身)がヘディングで押し込む。180cm以上の選手を多く揃え、‟勝負の鍵”として入念に練習を行ってきたセットプレーからの先制に、佐藤監督代行も「非常に嬉しい」と笑顔を見せた。
先手を許し、前掛かりに攻める慶應義塾大を沈黙させたのは、またしても砂川。後半アディショナルタイム、中央でドリブルを仕掛けると、最後はゴール右隅にループシュート。1ゴール1アシストの殊勲を立てた砂川は、「正直、どっちに転ぶか分からない試合だった。攻守両面、我慢比べで我慢できたことが、結果的に自分の得点とアシストに繋がった」と総括した。
中央大の佐藤監督代行が、「自分たちがやるべきなのは、今日のサッカー。勝ったことで、やっとみんな分かったと思う」と述べたように、4試合ぶりの勝利、さらには今季2度目の無失点という結果は、選手にとって自信を取り戻す大きなきっかけとなるはずだ。次節は、勝ち点2差で残留圏内の10位につける東京国際大との大一番。久々の勝利にチームが沸く中、砂川は「喜ぶのは今日だけにする」と気を引き締めた。
関東大学1部リーグ第18節の結果および順位表は以下のとおり。同リーグは2回戦総当たり方式で開催され、後期日程は11月16日まで行われる。
順天堂大2-0桐蔭横浜大
明治大3-0東京国際大
国士舘大1-3筑波大
早稲田大0-1流通経済大
専修大5-3駒澤大
慶應義塾大0-2中央大
1位:順天堂大学(勝ち点40/得失点差+18)
2位:専修大学(勝ち点37/得失点差+24)
3位:明治大学(勝ち点37/得失点差+16)
4位:早稲田大学(勝ち点34/得失点差+10)
5位:国士舘大学(勝ち点27/得失点差+4)
6位:慶應義塾大学(勝ち点27/得失点差+2)
7位:駒澤大学(勝ち点27/得失点差-5)
8位:流通経済大学(勝ち点19/得失点差-9)
9位:桐蔭横浜大学(勝ち点16/得失点差-16)
10位:東京国際大学(勝ち点13/得失点差-11)
11位:筑波大学(勝ち点12/得失点差-14)
12位:中央大学(勝ち点11/得失点差-19)
文=平柳麻衣