今年のインターハイを制した東福岡 [写真]=川端暁彦
いよいよ第93回全国高校サッカー選手権大会が始まる。高校生が真冬の首都圏に集結し、白熱の戦いを演じる真冬の風物詩。この大会をより面白く見るために、大会展望をしていきたいと思う。
おそらくどのライターも異口同音で優勝候補筆頭に推すのが、東福岡と流通経済大柏だ。さしずめ『東西の横綱』と言うべきか。インターハイチャンピオンの東福岡は、伝統の[4-3-3]のウィングシステムから繰り出す、破壊力抜群の攻撃がウリ。横浜F・マリノス入団内定のトップ下・中島賢星を軸に、右ウィングのヴィッセル神戸入団内定の増山朝陽、左ウィングの赤木翼を活かしたサイドアタックで、全国の頂点を狙う。流通経済大柏は屈強なフィジカルを持つFW高澤優也、天性の才を持つボランチ相澤祥太、FC東京入団内定の高性能レフティー・小川諒也とタレントを揃え、今年は頻繁なフォーメーションチェンジなどの柔軟性を持ち、ポゼッションとカウンターサッカーを巧みに使い分ける。
この2強を止める刺客も個性派ぞろい。流通経済大柏と初戦でぶつかる作陽は、かなり不気味な相手で、戦術的柔軟性が高く、策士・野村雅之監督がどんな策を練ってくるか。U-16日本代表のMF伊藤涼太郎の働きにも注目だ。東福岡と同じゾーンに居る静岡学園は、将来楽しみな1、2年生に注目。185cmのGK山ノ井拓己、MF旗手怜央がどんな活躍を見せるか。
ここに来て、履正社の仕上がりがいい。プリンスリーグ関西を制すると、高円宮杯プレミアリーグ参入戦で、静岡学園と前橋育英を下して、来季のプレミアリーグ昇格を決めた。昨年度、選手権初出場でベスト8を達成した主軸のほぼ全員が残り、MF牧野寛太、FW瀧本高志を筆頭に、2年生に将来有望な選手が揃う。同じゾーンには、プリンスリーグ北海道王者・北海道大谷室蘭、“東北の雄”青森山田、ジュビロ磐田入団内定のFW岩元颯オリビエとCB上夷克典、注目の2年生GK下野和哉を擁する鹿児島城西、昨年度の選手権で準優勝し、CB鈴木大誠やFW森山泰希など、その時のメンバーを多く有する星稜。さらに米子北、昌平、長崎総合科学大附属、中京大中京と強豪ぞろい。この激戦ゾーンを突破出来るかに注目だ。
MF渡邊凌磨と鈴木徳真のU-17ワールドカップ出場コンビを擁する前橋育英、前への推進力が強い立正大淞南、パワーと高さを持つ山梨学院大附属、3年連続ベスト4入りを狙う京都橘、プリンスリーグ九州得点王のFW村田航一擁する日章学園らも、『東西の横綱』を止める刺客候補となる。
他にもDF星キョーワァンら楽しみな2年生が居る矢板中央。ザスパクサツ群馬入団内定のFW大岩亮太とサガン鳥栖入団内定のDF笹原脩平を擁する秀岳館。広島皆実、尚志、初芝橋本、國學院久我山、日大藤沢も虎視眈々と狙っている。
果たして『東西の横綱』が番付通りの活躍を見せるのか。待ったを掛ける高校が現れるのか。ここが注目ポイントだ。
文=安藤隆人