2得点を挙げた藤枝順心の杉田妃和 [写真]=吉田孝光
第23回全日本高等学校女子サッカー選手権大会は4日、兵庫県三木市で2回戦の8試合が行われた。
修徳(関東地域第3代表/東京都)と湘南学院(関東地域第5代表/神奈川県)による関東勢対決は、試合終了間際まで0-0で進んだが、劣勢だった湘南学院が殊勲の1点を決めて勝利をもぎ取った。
両校の対戦は関東地区予選以来で、その際は修徳が1-0で勝利して湘南学院の関東制覇を阻んだ因縁の一戦。
「厳しいゲームを想定していたが、リベンジの気持ちが強かった」と湘南学院のMF間明瀬奈が意気込んだ試合だが、今回も修徳が優勢に進める。MF岡本祐花のドリブルやDF藤本はるかのオーバーラップでチャンスを作ったが、湘南学院GK大泉優香にセーブされ、そのまま後半へ。
湘南学院は苦しい時間が続いたが、それは77分に報われることになる。右CKを間明が蹴ると、こぼれ球がMF古畑未玖、DF金子ゆいとつながり、最後は再び間明が押し込んだ。試合を支配していた修徳の選手はガックリと落とし、湘南学院イレブンとベンチは一気に笑顔が弾け、因縁の一戦を制した。
木村みき監督は勝因にセットプレーを挙げた。
「修徳は昨日、左CKから得点していたから、そこはみんなで確認していた。あと、私たちは関東予選ではCKからの得点が無かったから、過去の相手のCKを見て、自分たちが失点した形を盗むように練習してきた」と、弱点を補うだけでなく、それを武器に変える驚きの作戦が功を奏した。
最前線で懸命にボールを追ったFW清水星良は「次、どこが相手でも挑戦者として強い気持ちで臨む」と、真剣な表情だった。
第1回大会からすべての選手権に出場する北海道の雄・北海道明清(北海道地域第2代表)は、優勝候補の藤枝順心(東海地域第1代表/静岡県)に挑戦したが、U-18日本女子代表MF杉田妃和の2得点などで、藤枝順心が4-0と完封勝利した。
藤枝順心は自慢の攻撃陣がこの日も爆発。早々に2得点を決めると、前半のうちにもう1点、後半にも加点した。速いパススピードで相手のプレスをかいくぐり、フリーランの選手を巧みに使って試合を有利に運んだ。
そして「11人で5試合を戦い抜くことは難しい」と話す多々良和之監督の思惑通り、コンディションが万全ではない選手を下げ、杉田も68分に途中交代。それでも2年生のMF黒崎優香らが質の高いプレーを維持し、80分で17本のシュートを放った。
対する北海道明清は、シュートがわずか1本だったが、最後まで足が止まることはなく、すでに敗退した大谷室蘭(北海道地域第1代表)の観客席からの声援に応え続けた。
北海道明清の清野訓靖監督は「うちは伝統のある学校だが、近年は全国で勝つ経験が少ないのも事実」と客観的に分析しながら「でも今日は誇らしい試合。選手は大学などでサッカーを続けるから、次へのステップにつながったはず」と、清々しく白い歯を見せた。
戦列復帰したばかりの藤枝順心のFW児野楓香は、先制点を決めて期待に応え、「今年の順心はパスサッカー主体だけど、カウンターでも得点が取れるチーム」と、まだ今大会で披露していないチームの強みをアピールし、「3年生と1日でも長くプレーできるよう、1試合1得点を目指す」と決意を語った。
他会場では、連覇を狙う日ノ本(関西地域第1代表/兵庫県)が、1年生のMF平塚万貴の2得点などで鎮西学院(九州地域第2代表/長崎県)に4-0の完勝。常盤木(東北地域第1代表/宮城県)はU-17日本女子代表(リトルなでしこ)FW小林里歌子の2得点で、星槎湘南(関東地域第6代表/神奈川県)に勝利し、村田女子(関東地域第1代表/東京都)もエースFW岸野早奈の得点などでベスト8に進んだ。
九州勢4校はすべて敗退が決まり、関西勢4校のうち3校が8強に残った。
準々決勝の4試合は6日に行われ、日ノ本は湘南学院との対戦が決定。常盤木vs聖和学園(東北地域第2代表/宮城県)の東北勢がベスト4の椅子を争う。
■2回戦結果
日ノ本学園高校 4-0 鎮西学院高校
修徳高校 0-1 湘南学院高校
常葉学園橘高校 0-0(PK3-4) 大商学園高校
鳴門渦潮高校 0-3 村田女子高校
常盤木学園高校 2-1 星槎国際高校湘南
柳ヶ浦高校 1-4 聖和学園高校
三重高校 2-5 大阪桐蔭高校
北海道文教大学明清高校 0-4 藤枝順心高校
■準々決勝組み合わせ(6日開催)
日ノ本学園高校 vs 湘南学院高校
大商学園高校 vs 村田女子高校
常盤木学園高校 vs 聖和学園高校
大阪桐蔭高校 vs 藤枝順心高校
文・取材=馬見新拓郎