高校女子サッカー選手権の4強が決定…連覇狙う日ノ本や前回準Vの藤枝順心など

山下史華

大阪桐蔭戦で決勝点を挙げた藤枝順心の山下史華 [写真]=吉田孝光

 第23回全日本高等学校女子サッカー選手権大会は6日、兵庫県三木市で準々決勝の4試合が行われた。

 雨の中で行われた大商学園(関西地域第2代表/大阪府)vs村田女子(関東地域第1代表/東京都)は、GK有倉唯夏を中心にゴールを守り抜いた村田女子が1-0で勝利した。

 試合は立ち上がりから大商学園が相手陣内でボールを回す。181センチのFW楮原智夏と167センチのFW嶋林美花という長身FWを並べる大商学園が次々とシュートを放つが、村田女子は体を張ってゴールを死守。「落ち着いてボールをつないだらペースが作れると話していた。楮原が競り勝っていたし、こぼれ球拾えていた」と、大商学園の岡久奨監督は手応えを得ていたが、前半は0-0で終えた。

 対する村田女子の矢代浩平監督は「相手を恐がらず、うちのサッカーを続ければ大丈夫」とハーフタイムに話し選手を送り出すと、前半を守り抜いた自信が後半につながった。GK有倉の速い飛び出しでピンチを凌ぎ続け、試合終了4分前に値千金のゴール。FW岸野早奈のクロスを大商学園GK垣内愛菜が防ぐと、こぼれ球をDF今野菜絵が押し込んだ。守勢の時間が最後まで続いた村田女子は、応援団の『妖怪ウォッチ』の替え歌などに後押しされ、ベスト4進出を決めた。

 矢代監督から「影のヒロイン」と評されたGK有倉は「自分が失点しなければ負けないと思いながら、辛い時は応援団を見た」と話すと、無失点は達成したが「キャッチが安定しないし、フィードもまだまだだった」と、表情を緩めない。そして1月1日に決勝が行われた皇后杯で優勝した、去年の卒業生GK山下杏也加(日テレ・ベレーザ)を指して「去年、悔しい思いをしたヤマさんの分まで絶対勝つ。チャレンジャーとして日ノ本を倒したい」と決意を新たにした。

 ともに足元の技術が高い選手を揃える大阪桐蔭(関西地域第3代表/大阪府)と藤枝順心(東海地域第1代表/静岡県)の準々決勝は、FW島村友妃子、FW山下史華の得点で藤枝順心が逆転勝利した。

 キックオフ後に雨が上がった競技場でボールを動かすのは、8年ぶりの優勝を目指す藤枝順心だが、先手を取ったのは大阪桐蔭だった。一瞬の隙を突いたDF中山さゆきが12分にゴールを決め、藤枝順心は今大会初失点を喫した。

 900人が入った観客席から応援の声が発せられ「指示の声が届かないから、選手たちでどうにかするしかない」と藤枝順心の多々良和之監督が話したように、選手は混乱に陥る可能性があったが、2回戦で全4得点に絡んだFW島村友妃子が、前半のうちに同点とした。

 藤枝順心は前線が自由にポジションを入れ替え、そこにMF杉田妃和が絡んで攻撃を組み立てると、52分には山下が左クロスに合わせてついに逆転。ボールキープに優れる藤枝順心が時間をうまく使い、試合終了とした。

 逆転勝利にも浮かない表情の杉田は「おもしろくないサッカーをしてしまった。守備が課題だから、明日に向けてはいい試合になった」と猛省。指揮官が 指揮官が「常盤木(東北地域第1代表/宮城県)とは3年連続の対戦だけど、2回ともPK戦にもつれ込んでいるから、次は決勝のつもりで戦う」と気を引き締めると、杉田も同調し「選手権ではとにかく常盤木に勝たないと」と笑顔はなかった。

 敗退となった大阪桐蔭の天野泰男監督は「結果に満足はできないが、すぐに熾烈な新人戦が始まる」と、冷静に話し「関西は選手育成にはいい環境が揃っているから、ベスト4を関西で独占したかったけど、代わりに日ノ本(関西地域第1代表/兵庫県)に優勝してほしいね」と微笑んだ。

 プレナスなでしこリーグの監督らが多数視察に訪れた準々決勝の他会場では、連覇を狙う日ノ本が、湘南学院(関東地域第5代表/神奈川県)に逆転勝利。常盤木はFW白木星のハットトリックなどで聖和学園(東北地域第2代表/宮城県)に9-1と大勝した。

 日ノ本vs村田女子、常盤木vs藤枝順心の準決勝2試合は、7日にノエビアスタジアム神戸にて行われる。

■準々決勝結果
日ノ本学園高校(関西1/兵庫) 3-1 湘南学院高校(関東5/神奈川)
大商学園高校(関西2/大阪) 0-1 村田女子高校(関東1/東京)
常盤木学園高校(東北1/宮城) 9-1 聖和学園高校(東北2/宮城)
大阪桐蔭高校(関西3/大阪) 1-2 藤枝順心高校(東海1/静岡)

■準決勝組み合わせ(7日開催)
日ノ本学園高校 vs 村田女子高校
常盤木学園高校 vs 藤枝順心高校

文・取材/馬見新拓郎

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