法政大でプレーするディサロ燦シルヴァーノ [写真]=
文=安田勇斗
期待の大きさは身にしみて理解していた。名門クラブ、三菱養和SCユースの一員として、昨年のアディダスカップ(日本クラブユースサッカー選手権)で優勝、自身は6ゴールを挙げて得点王に輝いた。鳴り物入りで加入した法政大学では、新入生にして開幕戦で堂々のスタメン。ディサロ燦シルヴァーノは大学サッカー界において上々のスタートを切った。……はずだった。
JR東日本カップ2015 第89回関東大学サッカーリーグ戦開幕戦、慶應義塾大対法政大は3-0で慶應義塾大に軍配が上がった。1トップのディサロは絶妙なフリーランニングと的確なポストプレーで存在感を放ったものの、時間が進むにつれて効果的な動きが減り、シュートはわずか1本。76分に不完全燃焼のままピッチを退くこととなった。
「デビュー戦としては悪くなかったと思うけど、FWである以上、まずは点を取らないといけない」。結果を残せなかったことを悔やんだ。しかし、その表情は決して暗くはなかった。なぜなら、この試合で確かな収穫を手にし、克服すべき課題が見えたからだろう。
「大学サッカーは全体的にプレスが速く、センターバックは背が高くて体が強い選手が多い。常に首を振っていないとボールを受けられないし、実際途中から前線でなかなかボールを受けられなかった。点を取るためにはボールの受け方だったり、体の使い方だったり、工夫が必要だと感じた」
イタリア人の父と日本人の母を持つ新鋭ストライカーはもちろん、“過去の栄光”だけでポジションを確保できたわけではない。「試合に出るためには自分の特徴を伸ばすだけじゃなく、もっと走ることや、守備をしっかりやることも必要だと感じて、ひたすら練習で取り組んできた」。並々ならぬ努力がレギュラー奪取につながったのだ。
ユース時代にその名を知らしめたスター候補生はすべてをリセットして、大学サッカー界に飛びこんだ。開幕戦では味方を活かすプレーが際立ったが、最大のセールスポイントは「裏への抜けだしと、一対一の場面で相手をかわしてシュートに持っていく形」。徹底してゴールにこだわり、虎視眈々とプロを目指す。