堅守で勝利に貢献した青森山田DF近藤瑛佑 [写真]=安藤隆人
文=安藤隆人
U-18世代の頂点を決めるリーグ戦「高円宮杯U-18サッカーリーグ2015 プレミアリーグEAST」(http://www.jfa.jp/match/prince_takamado_trophy_u18_2015/premier_2015/)が4月11日、12日に開幕節を迎えた。セントラル方式で開催となった第1節、12日の第一試合は市立船橋高校とコンサドーレ札幌U-18の高体連とJユースの対戦となった。「今日は前へ前への強さを見せた」と、朝岡隆蔵監督が語ったように、キックオフと同時に市立船橋が一気に攻撃を仕掛けた。
1トップの永藤歩、トップ下の高宇洋がドリブルを駆使して、何度も中央突破を試みる。これに対し、札幌は差し込まれ、今年のストロングポイントである菅大輝と徳田勘太の2トップに思うようにボールが供給出来ず、守勢に回った。
優位に立った市船だが、1点が遠かった。2分に永藤が強烈なシュートを放つが、枠の外。5分にMF下村司がミドルで狙うが、GKの正面。17分のMF椎橋慧也のミドルもGKの正面を突くなど、フィニッシュの精度を欠いた。
0-0で迎えた後半、攻めあぐねたことで、徐々に札幌にチャンスが回ってくるようになった。50分に菅がこの試合チーム初のシュートを放つと、56分には菅が1年生MF大屋敬太郎とのワンツーで抜け出し、シュートを放つ。これは枠の外に外れたが、ようやくツートップに良いボールが入るようになってきた。しかし、市船は67分に右サイドを破ったMF工藤友暉が放ったボールが、そのままGKの頭上を破って、ゴール左サイドネットに吸い込まれた。攻めあぐねた市船が、カウンターから先制弾を奪うと、札幌もここからさらに応戦に出るが、拮抗した試合はこれ以上スコアが動かず。1-0で市船が初戦をものにした。
青森山田高校と流通経済大柏高校の名門校対決は、守備陣に昨年からのタレントを擁し、今年1月に東京ヴェルディユースからFW神谷優太が加わり、攻守のバランスが取れた青森山田と、昨年のレギュラーの大半が抜けたが、フィジカルと技術に優れた選手が揃う流通経済大柏とあって、実力校同士の激しい一戦となった。
先に試合を動かしたのは青森山田。FKを得ると、MF三上孝太が左足で直接蹴り込んだ。さらに33分には右サイドを突破したMF豊島祐希の折り返しを、FW鳴海彰人が決定的なシュートを放つが、これは枠の外。これを受け、流通経済大柏の本田裕一郎監督がすぐさま動く。両サイドハーフをそろって代え、攻撃をてこ入れすると、48分には左CKからCB本村武揚が押し込んで、試合を振り出しに戻す。
しかし、それもつかの間、2分後の50分にDF原山海里のロングスローから、最後は鳴海が頭で押し込んで、青森山田が再びリードを奪う。ここから試合は前への圧力を強める流通経済大柏に対し、青森山田は常田克人と近藤瑛佑の長身センターバックコンビが気迫で跳ね返す、白熱の展開になった。だが、「勝ちたい気持ちが出過ぎて、物凄く雑になってしまった」と本田監督が悔やんだように、ロングボールを多用しては、常田と近藤、そしてハイボールに強いGK廣末陸の3人に阻まれる図式が続き、試合はそのままタイムアップ。
青森山田は質の高い攻撃と、堅い守備を披露し、勝利をつかみ取った。一方、敗れた流通経済大柏は、本田監督が「最悪の出来」と語ったが、前への圧力はさすがの一言だった。ロングボールが多くなったのは事実だが、それ以上にセカンドボールにしっかりと反応し、マイボールにしたら二次、三次攻撃を仕掛ける姿勢はこれぞ流通経済大柏。逆に言えば、その攻撃を耐え凌いだ青森山田の守備を誉め称えるべきであった。明暗分かれたが、共に力があることを実証した試合であった。