先制点をアシストした駒澤大MF平野篤志 [写真]=平柳麻衣
文=平柳麻衣
9日、JR東日本カップ2015第89回関東大学サッカーリーグ戦1部リーグ第8節が行われ、味の素フィールド西が丘では5位の明治大学と10位の駒澤大学が対戦。後半開始直後に駒澤大が先制するも、終了間際に明治大が追いつき、1-1のドローに終わった。
第4節から4試合勝ち星に見放されている明治大は、「相手のサッカーに対応するフォーメーションを考えた」と、栗田大輔監督はこれまで主に採用してきた4-4-2ではなく、3-4-3の布陣を選択。立ち上がりから両サイドのMF室屋成、MF高橋諒が積極的に攻撃参加し、チャンスを演出する。しかし、「前半はゼロに抑えればいいと思った」(秋田浩一監督)と、割りきって守備を固める駒澤大ゴールをなかなか割ることができなかった。
すると後半開始直後、駒澤大が最も得意とするパターンから先制点を奪う。46分、素早いリスタートから右サイドのMF平野篤志が精度の高いクロスを送ると、ファーサイドに走りこんだMF小口大司がヘディングシュート。「集中力の問題だった」(栗田監督)という明治大守備陣の一瞬の隙を突いた、電光石火の一撃だった。今季5つ目のアシストでゴールをお膳立てした平野は、「個人的に相手のサイドバックは去年の対戦で結構やられていたので、負けたくないと思っていた。克服できたとまでは言えないけど、やれるなと手応えを感じることができた」と、昨季の悔しさを払拭する見事な先制の場面を振り返った。
駒澤大は63分にも平野のクロスからFW菊池将太が頭で合わせネットを揺らしたが、これはオフサイドの判定。追加点を奪えずにいると、1点ビハインドの明治大はMF道渕諒平、FW三苫元太、MF早坂龍之介と攻撃的な選手を次々と投入し打開を図る。
この采配が功を奏したのは終盤の87分。明治大は右サイドの室屋からのクロスボールを受けた三苫が右足でシュート。クロスバーに当たったボールはゴールラインを割り、土壇場で同点に追いついた。
明治大の栗田監督は「負けていてチームがバラバラになりそうなところを、選手交代で防いだ。三苫はもう一度チームに勢いを与えてくれて、早坂は同点の場面の起点になってくれた」と、途中出場の選手たちを評価。一方で、チームとしては今節で5戦未勝利となり、優勝を狙う上で大ブレーキとなっている。栗田監督は「選手は前向きにやっているが、考えすぎてしまっているところがある。1つ結果が出ればすぐに調子は戻ってくるはず」と、自らに言い聞かせるように話した。
最後の最後に勝ち点3を逃した駒澤大は、今節を含め8試合中、4試合で80分以降に失点しているという結果に。秋田監督は「走力、精神、経験が足りない。2点目を取っていればもう少し落ち着いてできたはずだけど、取れないのが今の実力」と話し、先制アシストの平野は「(交代でベンチに下がった後の失点は)とにかく悔しい。自分が90分走りきれるようにもっと体力をつけるしかない」と反省を口にしている。
トップから最下位までが勝ち点差9の中にひしめく大混戦の関東大学1部リーグ。次節、5位につける明治大は8位の早稲田大学と、9位の駒澤大は3位の順天堂大学と対戦する。