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U-16日本代表がドリーム杯の初代王者に…フランス撃破で3戦全勝

2015.06.29

フランス戦で先制点を決めた中島元彦(中) [写真]=川端暁彦

文=川端暁彦

 6月24日から28日にかけて大阪府内を舞台に第1回U-16インターナショナルドリームカップが開催され、U-16日本代表が見事に栄冠を勝ち取った。

 同大会はU-16年代の代表強化と国際交流などを目的に今年から創設された。日本国内に国際ユース大会は数多くあるが、日本サッカー協会によって創設されるのはこれが初めてのこととなる。この栄えある第1回大会には、日本に加えてフランスチリコスタリカのU-16代表が参戦。4カ国総当たりで優勝を競った。

 日本は初戦でコスタリカをFW中村駿太(柏レイソルU-18)の4得点などによって7-0と粉砕。第2戦ではチリの激しいプレッシャーに苦しむ時間帯もあったが、MF藤本寛也(東京ヴェルディ・ユース)の決勝点などで2-0と破った。そして28日の相手はフランス。「2m近い選手が複数いて、〝物理的な戦い〟ではちょっと勝てない」(森山佳郎監督)難敵に対し、日本の若きイレブンは勇猛果敢に立ち向かった。

「相手は本当にデカくて、でも(コンタクトプレーでも)負ける気はなかった」とFW加藤拓己(山梨学院高校)が196センチ、85キロのCBダン・ザガドゥー(パリ・サンジェルマン)に体と体の真っ向勝負を恐れずに挑めば、もう一人のFW中村は「動いて相手を走らせて、前半で疲れさせてやろうと思った」と運動量勝負を挑む。急造チームゆえに「多くのことはできない。徹底してそれだけはやろうと言い続けた」という森山監督が短い練習の中で強調したのは、ゴールへ向かう意識と球際の強さ。日本が苦手とする二分野を徹底して追求しつつ、得意とする運動量を前面に押し出すスタイルで、欧州の強国に挑んだ。

 前半の内容はほぼ五分。フランスは中盤にも187センチの大型ながら動けてパスもさばけるブバカリー・スマレ(パリ・サンジェルマン)などの実力者をそろえていたが、日本のMF陣もよく対抗。接触プレーになっても、一度は跳ね飛ばされた選手が再び食らい付くなど、森山監督が徹底した戦う姿勢で負ける気配はまるでなかった。

 後半から日本は過去2戦FWで起用してきた中島元彦を左MFに投入。攻撃的な布陣で勝ち点3を獲りに行く気構えを見せる。すると51分、その中島が中央をドリブルで破って右足一閃。均衡を破る1点を叩き込んだ。日本はさらに62分にも、狙いどおりに「相手のDFが疲れてきていた」(中村)ところを抜け目なく狙っていた中村が決めて、大会得点王を決定付ける5点目を奪取。2-0とリードを奪う。

 フランスもアクティブな選手交代で疲労した選手を下げる中で日本を押し込み、71分にはPKから1点を返す。「さすがに最後はみんなバテていた」(DF橋岡大樹=浦和レッズ・ユース)という日本だったが、こちらもMF堀研太(横浜F・マリノス・ユース)、DF塩崎悠司(興国高校)らの後半途中に投入された選手たちがいずれも戦う姿勢を見せて奮闘。アディショナルタイムに前掛かりになっていた相手に対するカウンターからMF齊藤未月(湘南ベルマーレ)が決定的な3点目を奪い、フランスを打倒。記念すべき初代王者に輝いた。

「『うわあ、フランスが相手だ!』じゃない。ドイツだろうと、スペインだろうと、ブラジルだろうと、アルゼンチンだろうと、本気で戦えば世界の強豪とだって戦える。選手たちはこういう経験を経て、わかってくれたと思う」(森山佳郎監督)

 U-16年代での勝敗に一喜一憂しても仕方ないが、一方で本気で戦った末につかんだ勝利は、それぞれの心に残って財産になる。4年後のU-20W杯、5年後の東京五輪、そしてその先のステージで、このU-16代表選手たちが手にした財産を生かしていくことを期待している。

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