12月15日から19日にかけて、Jリーグが主催する国際ユース大会『Jリーグ インターナショナルユースカップ』の第1回大会が開催された。オランダからAZアルクマール、韓国から全南ドラゴンズ、そして日本からはJユースカップのファイナリストである浦和レッズユースと名古屋グランパスU18が参戦。4チームの総当たり戦で覇を競い、見事に浦和が3連勝で優勝を飾った。
優勝した浦和は、このチームらしい日替わりヒーローといった趣の勝ちっぷりだったが、今回はFW新井瑞希について紹介しておきたい。AZとの初戦こそ途中出場途中交代の憂き目にあったが、名古屋との第2戦では勝負を決める2ゴールを叩きこみ、全南との最終戦でも得点を決めたストライカーだ。今シーズンはスーパーサブ的な立場からスタートし、徐々に存在感を高めていった選手。元々ドリブル好きの技巧派だが、ゴール前に入っていく点取り屋としての才能を開花させた。「ちゃんと動きだせば、ゴールにつながるんだと気づけた」というプレーの変化で、今大会とJユースカップの二冠に大きく貢献することとなった。
大槻毅監督は「(新井は)今年本当に良くなったし、あとは(好不調の)波をなくしてくれれば、もっとやれる選手」と卒業後の活躍に期待を寄せる。複数の大学も獲得に動いていたが、本人はこれを謝絶。進路について「海外に挑戦したい」と明瞭に話す。クラブのメキシコ遠征の際に縁ができた現地のクラブからも誘われていたが、「来年、ヨーロッパに行くつもりです」と言いきった。その冒険心が実を結ぶことを願いたい。
大会では海外勢にも魅力的なタレントがいた。年代別のオランダ代表選手が居並ぶAZでは、しかし代表ではない17歳のセンターバック、ジャスティン・バッカーの存在感は際立っていた。対戦相手の各監督も絶賛した左足のフィード力は抜きん出たものがあり、AZの攻撃はほとんど彼が起点。若かりし日のフランク・デブール氏を彷彿とさせると言ったら言い過ぎだが、あらためてポゼッションサッカーにおける「左利きの左センターバック」の重要性を感じさせてくれた。また代表組ではUー18オランダ代表のMFフードメイカースが出色。大型ながら細身で未完の選手という印象も強いが、巧みなキープ力とゴール前での破壊力で大いに目立つ存在だった。
全南ではトップ昇格も内定しているUー18韓国代表の大型MFハン・チャンヒが高度なスキルを随所で披露。もっとも、オフ明けということで動きは鈍く、本領発揮とはいかなかった。ただ、「キ・ソンヨンが憧れ」と語るとおりの鋭いロングパスは印象的で、「本当にまじめな性格で、後輩のお手本になる選手」(キム・ヒュンス監督)という点も合わせて将来性には期待したい。また名古屋の高田哲也監督は2年生GKシン・ジフンについて「あの選手は相当いい。韓国は本当にGKが次々に出てくるね」と絶賛。188cmの大型ながら俊敏さを備える守護神の才気を買っていた。
文・写真=川端暁彦
By 川端暁彦