チームの浮沈の鍵を握る2つのコンビが存在する。森本ヒマンと澤野祐輝の2トップ、星キョーワァンと川上優樹のセンターバックコンビ。
森本はコンゴ人の父と日本人の母を持ち、187センチの高さと屈強なフィジカルを持つストライカー。空中戦に強く、高い打点のヘッドはポストプレーヤーとしても、ロングボールからの素早い展開を得意とするチームにおいて大きな武器となっている。
この森本のポストプレーを精度の高い攻撃に結びつけるのが、岐阜からやってきた2年生の澤野だ。スピードとドリブルに秀でた彼は、「ヒマンさんのポジションを良く見て、セカンドをしっかりと拾うようにしている」と、予測の良さとアジリティーでセカンドを拾うと、個で打開したり、サイドに展開したりと、攻撃にバリエーションをもたらす。さらに「澤野がボールを持ったら必ず自分を見てくれる。なので信じて動きだせます。あいつとのコンビで点を取れていると思います」と森本が語るように、彼らのコンビネーションだけでも点を取ることが可能なことも、魅力の一つだ。
星も森本と同様に、コンゴ人の父と日本人の母を持ち、184センチの高さと屈強なフィジカルを誇る。ヘディングはもちろん、彼の武器は一対一の強さだ。しなやかな身のこなしと重心の低さ、予測と決断に優れ、ドリブラーでもスピードアタッカーでも、エアバトラーでもシャットアウトできる強さを持つ。
川上も184センチの高さがあり、星同様に一対一が強い。このコンビのストロングポイントは、2人ともコーチングやラインコントロール、カバーリングができること。「2人とも前に強いので、チャレンジ&カバーは徹底できているし、僕らが真ん中にいることで、守備が安定する」と川上は自信を見せる。
このコンビは1年時からレギュラーとしてプレーしており、3年分の連携と信頼関係の積み重ねがある。「優樹とのコンビで優勝したい」と星が語れば、「高校ではこの大会で最後、別々の大学に行くけど、将来また同じチームでやりたい。そのために最後は笑って終りたい」と川上も語る。
攻守の鍵を握る2つの『ベストコンビ』。矢板中央の車の両輪は、お互いへの熱い想いを燃料に、力強くチームを前へと進ませていく。
文・写真=安藤隆人