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藤枝順心を支えるエースFW児野…指揮官も期待「今勝てている要因」

2016.01.04

2得点を挙げた藤枝順心FW児野楓香(10番) [写真]=吉田孝光

 優勝候補の一角と目される藤枝順心高校(東海第1代表/静岡)が、2回戦で鎮西学院高校(九州第3代表/長崎)を3-0で破って準々決勝に進んだ。

 試合を終えた藤枝順心の多々良和之監督は、失望にも似た表情を浮かべながら、「よくこのゲームで勝ったなと。今のチームはこんなひどいゲームはしたことない。ビルドアップどころか、ビルドダウン(苦笑)。なんでこうなっちゃったのか」とため息混じり。

 そんな中、ひとつの光明はエースストライカーFW児野楓香の好調だ。「児野の2得点があったから勝てたようなもの。苦しい中でも結果オーライと言えるが、児野がいないと今はなかなか得点が奪えない。そういう意味では彼女の得点が、今勝てている要因」と指揮官はチーム内で最も経験豊富な154センチの小さな背番号10の名前を挙げた。

 児野は1年生の時に高校女子選手権のほとんどの試合で先発出場して、最後まで無得点に終わる悔しさを味わったが、U-17日本女子代表(リトルなでしこ)の一員として、2014 FIFA U-17女子ワールドカップ(コスタリカ)優勝などを経験し、2年生ではコンスタントに得点を奪えるように成長。3年生で迎えた今大会では、不調のチームを支える揺るぎないエースとなった。この日も貪欲なシュートで2得点を奪い、チームを準々決勝に導く殊勲の活躍だった。

「個人的には1試合1得点を目標にやっているから、今のところはそれができているが、これから本当に厳しい戦いになる。そこでどれだけ結果を残せるか。次もチームを楽にさせる得点を奪っていきたい」

 ケガを抱えながらもしっかりと仕事を果たし、早々にピッチを後にした児野の出来は、藤枝順心の浮沈の鍵を握る。

 今大会は、1回戦で前回大会優勝の日ノ本学園高校(関西第2代表/兵庫)が姿を消し、隣の競技場で常葉学園橘高校(東海第2代表/静岡)と対戦した常盤木学園高校(東北第1代表/宮城)も、優勝候補ながら敗退した。

「次は私たちが落ちるかもしれないね」と多々良監督は冗談を言って記者たちを笑わせたが、9年ぶりの日本の頂点に立つ準備は着々と進めている。

「ここのところ、全国大会ではベスト4には何度か入れているから、まずはそこを照準にして、全国大会に出るだけではなく、全国で勝つために考えながらレベルを上げているところ」

 主力選手の疲労やケガの状態を考慮しながら、巧みな選手交代でベスト8へ。それだけでなく、翌日には控え組中心の練習試合を予定している。

「次の試合のキープレーヤーも児野になるかな」と話す多々良監督の考えが変わるほど、インパクトを残す選手の出現があるか。試合が行われない中1日の練習試合も、藤枝順心にとっては全国制覇に向けた重要な時間となりそうだ。

文=馬見新拓郎

By 馬見新拓郎

10年以上にわたり女子サッカーを追いかける気鋭のライター

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