2点目を決めたFW丹羽詩温 [写真]=鈴木拓也(明大スポーツ)
最高の船出をきった。ついに幕を開けたJR東日本カップ2016 第90回関東大学サッカーリーグ戦1部第1節の相手は、昨シーズン3位の慶應義塾大学。序盤からペースをつかみ、15分に道渕諒平のFKを岸本英陣が頭で合わせて先制点を挙げる。続けて前半アディショナルタイム45+2分には、丹羽が自身で獲得したPKを決め、2-0で折り返した。後半でもしっかりとボールをキープし、主導権を渡さず。68分、CKのこぼれ球を岩田拓也が押しこみ、3-0で試合終了。終始試合を支配して開幕戦に勝利、勝ち点3を勝ち取った。
接戦が予想された開幕戦もふたを開けてみると3-0で勝利。まさに“完勝”の二文字だった。試合開始から硬さがなく、攻撃はボールを早く回し、サイドから攻め崩す。守備では選手間の距離を縮め、昨年よりも速いプレスを展開。「全員が連動してつながっていくようなサッカーをやることが、相手にズレを起こしてくる」(栗田大輔監督)と、慶應大もサイドから仕掛けてくるが、思うようにさせなかった。
15分には左サイドのペナルティーエリア手前でFKを獲得。道渕がGKの頭を越えるクロスボールを蹴ると、ファーサイドにいた岸本がダイビングヘッドでドンピシャに合わせ先制点を記録。「マークも全然だし、改善してきませんでした。2本目のCKの時は『いけるぞ』って思いました」(岸本)と、相手のズレを見逃さなかった。追い打ちをかけるように45+2分、丹羽が高い位置で豊川功治からボールを奪取。慌てた豊川がペナルティーエリア内で後ろから止めに入り、レッドカードを与えるとともにPKを獲得した。そして丹羽が公式戦初得点となるPKを成功させて、前半終了。
後半に入っても波に乗っている明大は止まらず相手エリアに幾度となく侵入し続けた。迎えた68分、道渕が蹴った左CKに合わせた岸本のヘディングシュートは相手GKに弾かれたが、岩田が押しこみダメ押しの追加点をマークした。最後まで全員が集中力を切らさず、連係のとれたプレーを維持し、試合は終了。「今までやってきたことが今日実践できた」(道渕)。理想のサッカーで慶應大のシュート数を「0」に抑える完封勝利を収めた。
やはり“持っている男”だ。サイドバックでありながらで1ゴール、チーム最多5本のシュート放った岸本。68分にはアシストこそならなかったが、ゴールへの執念が岩田の追加点を呼びこんだ。その前の53分でも、CKから相手GKに間一髪で阻まれたヘディングを見せており、空中戦では圧倒的な強さを誇っていた。昨季のインカレ(アパマンショップPresents平成27年度第64回全日本大学サッカー選手権大会)順天堂大学戦で公式戦初出場、初得点の劇的弾を決めており「あいつも名物ですね。何かやってくれます」と栗田監督も笑みをこぼしている。昨季は出場機会に恵まれなかった“秘蔵っ子”だが、その名を知らしめる活躍を見せた。
一新したチームがその強さを見せつけた。前主将の和泉竜司(名古屋グランパス)らの引退を受け、昨シーズンのイレブンから半分以上が変わったこの試合。しかし幾度となくゴールを脅かし、相手に決定機は与えず。3得点のうち、2得点が丹羽、岩田の公式戦初得点と開幕戦から結果を残した。また「適材適所でいかなる場面でも交代カードが切れる状態になっていました」(栗田監督)と3枚の交代枠を全て使いきった。途中交代で入ってもしっかりとボールに触れ、試合に順応する戦術把握と能力の高さが光った。特に開幕戦で初出場を果たしたルーキーの佐藤亮も短い時間ながら積極的にゴールを狙い、確かな存在感を放っていた。「チームの総合力で戦っていかないといけない」(小出悠太)。テーマだった総合力を開幕戦から存分に発揮。各選手が十分戦えることを証明した。
この完成度を継続したい。次節の相手は昨シーズン7位の法政大学。今試合を通して、周囲からの今季の懸念を吹きとばす内容と結果を見せることはできた。しかし、まだ今季のリーグ戦は始まったばかりだ。「過信せずに謙虚にひたむきに」(小出)と地に足を着けて前へ進まなければならない。まずは次節を制し、勝利のリズムをつかむ。
文=渡邊弘基(明大スポーツ)
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