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長友佑都が明治大をサプライズ訪問し、「最悪」な状況のメンタル回復法を伝授…GK服部「スッと落とし込まれた」

2016.05.24

長友からのアドバイスを受けた服部は勝利に貢献した [写真]=平柳麻衣

 長友佑都(インテル)が母校の明治大学体育会サッカー部を激励した。21日、JR東日本カップ2016第90回関東大学サッカーリーグ戦第8節 順天堂大学戦の試合前に、日本代表DFは明治大サッカー部の寮をサプライズ訪問。“ミーティング”と聞かされて集まった選手たちは、偉大な先輩の突然の登場に驚いた。「着飾ってないけどオーラがすごい。ああいう人になりたいと思った」と嬉々と語ったのは主将のGK服部一輝。長友との対面を果たすまでは、「最悪」のメンタル状態にあったという。

 リーグ戦第7節の専修大学戦で、自身のミスから失点を喫して引き分け。仕切り直すべく1週間準備をしてきたが、心のモヤモヤは完全には晴れていなかった。そんな折、電撃訪問した長友との対面時間は15分程度。試合会場への移動直前だったためわずかな時間だったが、質疑応答が設けられ、服部が名乗り出た。

「この1週間ずっと自分のプレーが良くなくて、主将なのに周りの信頼を失ってしまいました。プレーも私生活も最悪だと思う時、どうしますか?」

 すると、長友がまさかの逆質問。

「君が志していることは何?」

「日本一のキーパーになることです」と答えた服部に、先輩は言葉を続けた。

「高い志を持っている選手は絶対大丈夫だから、自信を持ってプレーしてほしい。チャレンジしてみてダメだったら、また考えればいいんだよ。チャンレンジすることが大事だから、まずはチャレンジをしよう」

 このメッセージを受け、服部は「この1週間考え込んだのは何だったんだろうっていうぐらい、スッと心に落とし込んでくださって、自信を持つことができた」という。

 順天堂大戦では、服部は無理なキャッチやビルドアップは控え、大きなクリアやコーチングに徹した。「バタバタしているように見えたかもしれないけど、僕のメンタルは今シーズンで一番落ち着いていた。自分の特徴は声を出し続けて後ろでシュートを止めること。飛び出しやビルドアップは得意ではないので、今日の試合は割り切って臨もうと思って、とにかく蹴ってあとは前に任せようと。だから、キックミスしても『まぁ、いいや。最後に守れればいいでしょ』と思えた」

 ブレ球のスーパーゴールで1失点を許してしまったものの、試合は2-1で明治大が勝利。服部は「良いタイミングでアドバイスをもらえて良かった」と感謝し、栗田大輔監督は「もし負けたら“長友効果”がゼロになってしまうと長友本人からも言われていたので、勝てて良かった」と安堵した。

 なお、味の素スタジアム西競技場で行われたこの一戦は、OBの丸山祐市と室屋成(ともにFC東京)もスタンドで観戦。服部は「丸山選手は『どんな時もネガティブにならずに、ポジティブに取り組んでいけば自ずと良い結果がついてくるから、頑張り続けてほしい』と言ってくださり、成はみんなずっと一緒にやってきた仲なので、少しふざけた感じで『頑張ってください』と言ってくれた」と試合後のロッカールームでの出来事を明かした。

 日本を代表する選手として活躍を続けるOBたちから刺激を受け、気持ちを新たに団結力を強めた明治大。順天堂大戦の勝利で今シーズンの成績を4勝3分け1敗とし、勝ち点15で首位に立った。「長友さんや丸山さん、同期の室屋もですけど、いろいろな方々が応援してくださるおかげで今の明治がある。みんなで一致団結できたし、勝たなきゃいけないという責任感も出た」(服部)。伝統校としての使命、そして先輩たちの想いを背負い、明治大は悲願のリーグ制覇へ突き進む。

文=平柳麻衣

By 平柳麻衣

静岡を拠点に活動するフリーライター。清水エスパルスを中心に、高校・大学サッカーまで幅広く取材。

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