2014年9月14日、AFC U-16選手権準々決勝で宿敵の韓国に敗れ、5大会ぶりに世界への切符を逃したU-16日本代表。至上命題のワールドカップ出場に向けて、“00ジャパン”こと現U-16日本代表を指導する森山佳郎監督、齊藤俊秀コーチにアジア突破のカギを聞いた。
インタビュー=安田勇斗 写真=酒井伸
――昨年のフランス遠征(バル・ド・マルヌU-16国際親善トーナメント2015)ではオランダに0-3で敗れています。9月のAFC U-16選手権インド2016に向けて課題や武器にしていくところはどこですか?
森山 イングランドとフランスに連勝して迎えたオランダ戦は、日本が目指していたコンパクトなサッカーをさせてもらえませんでした。アジアの国も日本の良さを消して、カウンター一発で勝つ守備重視のサッカーをしてくると思います。そういうことを考えると、状況に応じた判断力や予測力を高めて、チーム全体で共通理解を持って戦う必要があります。チャンスの割合が9対1だとしても、負けることが十分にあり得るのがアジア予選です。完全に崩されることは少ないと思いますので、カウンターを許さず、相手の急所を突いていけるかが大事になってきます。ボールを奪った瞬間、相手の守備が整う前にシュートまで持っていく迫力やスピードも必要で、引いた相手を崩す質を上げていかなければいけません。
齊藤 今年5月の中国遠征(International Youth (U-17) Four Countries Football Tournament)で優勝しましたが、取りこぼす可能性も十分にありました。100パーセントに近づけてアジア予選に臨めるよう、自信を深めていくことも必要だと感じています。
――アジア予選突破は通過点だとは思いますが、2017 FIFA U-17ワールドカップの目標は?
森山 まだ具体的な目標は立てていませんが、選手は「頂点を取りたい」と言っています。僕たちから「これを目指すぞ」と言うことはありませんが、選手が世界一を目標にするのならば、もっと突き詰めるべきものがあると思います。
――日本の最高成績はベスト8です。課題をクリアすれば、その先は見えてくると思いますか?
森山 世界を驚かせることができるメンバーがそろっているので、不可能なことはないと思っています。
齊藤 世界を驚かせたいというのは、スタッフ全員の考えです。ワールドユース(1999 FIFAワールドユース選手権)で準優勝した小野伸二や稲本潤一(ともにコンサドーレ札幌)ら“黄金世代”の再来として、日本の底辺を上げていきたいです。今後、日本を背負う選手が“00ジャパン”から出てくることに期待して、目先と未来を大切にしていきたいです。
――育成年代の指導者は大会の結果よりも選手の成長を第一に考える方が多いと思います。お二人は最大目標をどのように捉えていますか?
森山 今は選手の成長が一番で、のちにA代表のメンバーに名を連ねてもらうことが最大の目標です。そのためにもワールドカップに出て、世界を経験しないことには話にならない。アジア予選で負けていては、選手の成長にも大きく影響してしまうと思っています。きれいごとではなく、どんなことがあってもアジアは突破しないといけない壁です。
齊藤 選手を成長させるためには、アジア突破という結果はもちろん必要です。本大会で決勝まで勝ちあがれば全部で7試合もできるので、多くの試合を経験させたいと思っています。
1967年11月9日生まれ、熊本県出身。現役時代はマツダSC(1992年よりサンフレッチェ広島)、横浜フリューゲルス、ジュビロ磐田、ベルマーレ平塚でプレー。日本代表として国際Aマッチ7試合に出場した。引退後は広島の育成組織で指導に携わり、数々の全国タイトルを獲得。U-15日本代表アシスタントコーチを経て、2015年より“00ジャパン”こと現U-16日本代表監督に就任。
1973年4月20日生まれ、静岡県出身。元日本代表DF。1996年に清水エスパルスに加入し、プロ生活をスタートさせると、湘南ベルマーレを経て2009年より当時静岡県リーグ1部に所属していた藤枝MYFCへ。同クラブでは選手兼監督を務めた。翌年に東海リーグへ、2012年にJFLへの昇格を果たし、2013シーズン終了後に現役引退および監督退任。2014年末より現U-16日本代表のコーチを務める。
■番組情報
タイトル:Jリーグラボ #42「U-16日本代表監督・コーチの二人が語る育成年代のサッカーとその課題」
放送日時:6月4日(土)後11時~(再放送多数)
チャンネル:スカチャン1(CS801/Ch.581)
ホームページ:http://soccer.skyperfectv.co.jp/jleague/jleague_lab