対人戦の強さを武器に、ディフェンスラインを支える望月大知選手。最高学年として挑む今回の早慶サッカー定期戦は、自身4度目となる。過去3戦は全敗と大きな屈辱を味わった。ラストチャンスで雪辱を晴らすべく迎える大舞台への意気込みを伺った。
取材=氏家滉登(慶應スポーツ)
――5位で終えた前期リーグ戦、振り返っていかがですか?
望月 チームとして入りは上手くいかなかった中で、終盤辺りから修正できた点は良かったと思います。ただ、失点がリーグワースト2位ということで、DFとして後期に向けて改善していかなければいけない点だと思います。
――序盤なかなか調子が上がらなかった要因はどこにありますか?
望月 チームとしてやることが明確になってなかったということと、全員で1つの目標に向かって戦うという姿勢が取れていなかったことが前半戦上手くいかなかった要因かなと思います。
――苦しい状況の中、モチベーションは保てましたか?
望月 モチベーションを保つというよりかは慶應大を代表している立場でモチベーションを高くやらなければいけないという自覚はあったので、そこは問題ありませんでした。ただ、気持ちだけが先行してしまって戦術やプレーが追いついていなかった印象です。
「自分たちの目標は関東リーグ優勝」
――終盤は5試合負けなしと調子が上向いた要因は何ですか?
望月 4年生を中心に話し合って、自分たちの目標は関東リーグ優勝なのでこのままではいけなく、もう一回皆でしっかりまとまろうとしたのがきっかけで、良い方向に向かったのかなと思います。
――前期全体を振り返っての課題と収穫は?
望月 やはり課題は失点の多さです。オフェンス陣は点を取ってくれているので、失点がもう少し減れば勝ち切れたり、引き分けで勝ち点を取れたり出来ると思います。昨年、一昨年に比べても失点が増えてしまっているので、改善しなければいけないですね。収穫点は逆に得点が多く取れていることです。チームとしてそれだけチャンスが作れているということなので、良い点だと思います。
――シーソーゲームで競り勝つ試合も多かったですね。
望月 勝つことは嬉しいのですが、自分はセンターバックでDFをまとめなければいけない立場なので、失点が多いシーソーゲームはどちらかというとやりたくないですね。勝ったとしてもDFとしては悔しい気持ちが残ってしまうので、1-0や2-0のように完封したい気持ちがあります。
――個人としての出来はいかがですか?
望月 個人としてもDFをまとめる立場としてやはり失点が多いのは悔しい気持ちがあります。昨年と比べて自分のプレーが良いか悪いかと言われたら、悪い方向に進んでいるという自覚はあるので、改善していかなければいけないですね。ラインコントロールであったり、最後のところでビックプレーで守ったり、そういうプレーが減っていることが個人としての課題で、そこがチームとしての失点の多さにもつながっていると思います。
――今季はDFラインに下級生が入ることも少なくないですが。
望月 自分も1、2、3年生の時は先輩方に引っ張ってもらっていたので、下級生がどういうプレーをしたいのか、どういうプレーが特徴なのか、というのを理解してプレーすることを心がけています。
――前期で一番印象に残っている試合はありますか?
望月 早稲田大学との早慶戦ですね。あの試合は立ち上がりから自分たちが何をしたいかというのがチームとして統一出来ていて、1点取ったあとも引いて相手が出てきたところをカウンターでもう1点狙うという明確なプランのもと戦えました。最後の失点は余計でしたが、全体を通して自分たちでコントロール出来た試合だと思います。
――ボールを大切にし、相手に合わせないという戦い方でしたね。
望月 これまで早稲田大に勝てなかったことをふまえて、どうしたら自分たちが勝てるのかというのを話し合って、それを練習でも実際に取り組みました。早稲田大からしたら自分たちがああいうサッカーをしてくるというのは予想外だったと思うので、それが上手くいったと思います。次の総理大臣杯でも当たる可能性がありますし、相手も研究してくると思うので、それを上回るプレーをすることが大事だと思います。
――最高学年を迎えたことで変わったことは?
望月 去年までは久保飛翔(現ファジアーノ岡山)君や(山田)融君がいて自分が声を出さなくても声を出してまとめてくれる人がいたので、自分のプレーに集中すればよかったのですが、今年はそういうわけにもいきません。自分が声を出してまとめなければいけなくて、心境の変化とまではいかないですけど、プレーの面でも変化につながっているので、そこが大きく変わった点かなと思います。
――同期の4年生は下級生の時から試合に出ている選手が多く、この世代でやってやるぞという思いは強いですか?
望月 自分たちの代は1年生から多く試合に出させてもらっている状況で、過信ではないですけど、ある程度自信を持ってプレーしていいのかなと感じています。相手をリスペクトするのは大事ですが、逃げ腰や受け身になりすぎる必要はないと思います。前期リーグ戦は、最後明大が抜けてしまいましたが混戦で自分たちも優勝するチャンスはありますし、関東リーグ優勝という目標に向かって本当に大きなチャンスだと思うので、皆狙って練習しています。
「ラストチャンスで借りを返したい」
――望月選手にとって早慶定期戦とはどのようなものですか?
望月 自分の中では3年間屈辱を味わった場所です。1年生の時からセンターバックで3年連続出させてもらっていて、これまで慶應大に入ってあまり交代させられる経験はなかったのですが、早慶戦では3年中2年交代させられています。明らかに自分のプレーが悪くて、自分でもどうしてああなってしまうのか分からないですが、独特の雰囲気に呑まれているのかもしれません。あの舞台でかつラストチャンスで借りを返したいという気持ちは誰よりも強いと思います。
――リーグの早慶戦とはやはり違いますか?
望月 早稲田大ももちろんリーグ戦とは一味違うというか気合の入り方も違いますし、自分たちももちろん気合の入れ方は違うのですが、やはりあの大観衆や携わってくれる人の人数とかバックグラウンドを考えるとリーグ戦とは全く別物だと思います。
――今季はリーグ戦ですでに早稲田大に勝利していますね。
望月 4年生同士で話しているのは今年は早稲田大に全部(リーグ戦2試合+定期戦)勝とうというのを言っています。ある意味早稲田大にはそのチャンスは残っていないわけで、自分たちには全勝するチャンスが残っています。歴史的に見ても、慶應大が早稲田大を全部倒したことはあまりないと思うので、自分たちにはそのチャンスが残っていることを誇りに思って戦いたいと思います。
――具体的に相手のどんなところに気を付けたいですか?
望月 最後の勝負強さであったり、この前の試合も自分たちのプラン通りに進んでいるにもかかわらず、後半最後押し込まれたりと粘り強さがあるので、そこは全員で注意しなければいけないと思います。
――どんなプレーを見せたいですか?
望月 チームの勝利に貢献することは一番なので、まず無失点で、相手FWを圧倒するオーラとか声とかで目立てたらいいかなと思います。
――最後に定期戦への意気込みをお願いします。
望月 自分はまだこの慶應大に入学してから定期戦で勝利したことがなくて、毎年早稲田大が紺碧の空を歌っているのを悔しい思いで見ているだけしかできていません。親や友人が見に来てくれて、そして、試合に出られない部員が多くの仕事をこなしてくれているなかで不甲斐ないプレーをしてしまっていて、申し訳ないというか自分に腹立たしい気持ちがあります。今年こそ、今までの3年はこの4年生で勝つためにあったと思えるような試合をしたいと思います。
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