特別トレーニングに参加した西尾(中央)と白川(右)[写真]=NIKE
世界で戦い抜くために――。「NIKE MOST WANTED」の“日本代表”となったMF白川恵士朗(無所属)とMF西尾翼(東海大学)が4日、「世界仕様」の体を手にするためのフィジカルトレーニングを実施した。
「NIKE MOST WANTED」とは、若き才能を発掘することを目的とした世界規模のスカウトプロジェクト。「ジャパンファイナル」を勝ち抜いた両選手は、11月25日からイングランドのセント・ジョージズ・パークで行われる「グローバルファイナル」に日本代表として参加する。出発前の“特別強化プログラム”の一環として、この日はフィジカルを鍛え抜いた。
コーチを務めたのは、「NIKE ACADEMY TOKYO」の鈴木友規フィジカルコーチ。個別に筋肉の状態をチェックすると、ランニングからストレッチへと移行した。体幹やバランスを意識しながら、「初めのうちに、ベースとなる体の使い方を覚えてもらいたい」(鈴木コーチ)と一つひとつの動作を丁寧に行っていく。とりわけ印象的だったのは、重心確認だ。重心が正しい位置にあると、体勢が崩れにくくなる。つまり、動きの切り替えをよりスピーディに行えるようになり、当たり負けもしなくなる。最初は、スクワットの姿勢で横から力を加えられるだけでふらついていた二人だが、自分の重心を把握・意識することでピタリと安定。早速、効果を実感した二人は「びっくりしました! 勉強になります」と口を揃えた。
後半はスプリント中心のメニューを消化。「走り込みをしていなかったので、きついですね」(白川)、「この疲労感は高校以来かもしれない(笑)。ぐっすり眠れそうです」(西尾)と語るほどのハードなトレーニングで汗を流した。
約2時間のトレーニングを終えて疲労困ぱいの二人だったが、その表情には充実感が漂う。西尾は「今まで個人指導を受けたことがなかったので、贅沢な時間でした。どのトレーニングも濃密で、きつかったけど楽しかったです」と笑顔を浮かべた。二人にはそれぞれ宿題が出され、白川は「心肺機能を高めるトレーニングをしたほうがいいと言われました。これから(グローバルファイナルに向けて)コンディションを上げていきたい」と意気込んだ。
25日から行われる「グローバルファイナル」を勝ち抜くと「NIKE ACADEMY」に入る資格が与えられ、世界最高峰のトレーニング環境で指導を受けるチャンスを得られる。挑戦の時まで1カ月を切ったが、まだまだできることがあると西尾は言う。「初めてやったトレーニングばかりで、まだやれることがあるのはうれしい。自分の成長がめっちゃ楽しみです」。
個別でのフィジカルトレーニングは出発までに計3回予定されている。ブンデスリーガのブレーメンで鍼灸トレーナーとして働いていた経歴を持つ鈴木コーチは、「海外のセレクションでチャンスをつかむためには、フィジカルやテクニックがあるだけではダメ」だと主張。世界各国のプレーヤーが集うセレクションでは、“自己主張”も評価基準の一つとなる。「いかに自分をアピールできるか。たとえ英語ができなくても、“表現力”が大事になってくるので、そういう部分も教えていきたい」と全面的にサポートする構えを示した。若き“日本代表”が世界で勝つプレーヤーになる準備は、始まったばかりだ。
By サッカーキング編集部
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