昨年、全国準優勝の歴史を持つ強豪・筑陽学園を4-0で退けた決勝終了後、当時のMF中村健人主将(現・明治大)は「『全国で勝てるチームはこういうところでも大差つけて勝てる。全国で戦うために4-0、5-0で勝っておかないといけない』と(総監督の)志波先生にずっと言われていた」と説明していた。その言葉通り、激戦区・福岡決勝を大差で制した東福岡は全国大会でも実力を発揮して勝ち上がり、98年度以来17年ぶりとなる全国制覇を果たした。
あれから1年後、東福岡はまたも大差での勝利によって全国出場を決めた。11月13日、第95回全国高校サッカー選手権大会福岡県予選決勝。試合巧者の九州国際大付と対峙した東福岡は6-0で快勝した。
この日、ジュビロ磐田内定MF藤川虎太朗がベンチスタートとなった東福岡だが、ガンバ大阪内定MF高江麗央を中心に両ワイドから崩す攻撃で九国大付を攻め立てる。前半15分に中盤でインターセプトした日本高校選抜MF鍬先祐弥のスルーパスからFW藤井一輝が右足で先制点を決めると、29分にもPAで浮き球に反応した藤井がジャンプしながらのハーフボレーで2-0。そして後半には交代出場のFW佐藤凌我が持ち味のスピードを活かして決めたゴールと高江の直接FKによって4-0。そして終盤には2年生MF福田湧矢が鮮やかな連続ゴールを決めて日本一を獲得した97年度大会(7-1、対東海大五)以来となる決勝での6点差勝利で強さを見せつけた。
九国大付のパワフルな攻撃の前に失点の危機があったことも確かだが、それでもほぼ文句なしの内容とスコア。鹿島アントラーズ内定の左SB小田逸稀は「去年も4-0で勝って、圧倒して全国大会に臨めた。今年も去年を越すという意味で圧倒して勝てたんで良かったです」と微笑み、エース藤川も「決勝でこういうパフォーマンスができたのは良かった」。インターハイは初戦で新鋭・昌平にまさかの逆転負けを喫したものの、福岡決勝を昨年以上の大差で勝利。夏の敗戦を糧に成長し、「全国でも勝てるチーム」であることを証明した東福岡がこの冬も主役になる。
取材・文=吉田太郎