徳島市立のエース、郡紘平 [写真]=森田将義
得意なプレーは「相手の逆をとるプレー」。相手がパスで来るだろうと予測している所でドリブルを仕掛けたかと思えば、ドリブルを警戒するタイミングでパスを繰り出すこともできる。15度目の選手権出場となる四国の名門・徳島市立のエース、MF郡紘平は観ていて「おっ」と思わせるプレーを見せてくるスター候補の一人だ。
1年生の頃から上手さやアイディアの豊富さは一目置かれる存在で、一昨年の選手権ではゴールを記録。昨年は選手権出場を逃したが、プレミアリーグ参入戦などで好機を作り、全国で通用することを証明した。最終学年を迎えた今年は、郡を中心としたグループでの崩しを徹底するなど、個の力を引き出すチーム作りが進められた。個人としても昨年はチームを勝たせる活躍ができなかったという反省もあり、得点に対する意識がアップ。プリンスリーグ四国では20得点を奪い、得点王にも輝いた。
一方で、大事なところで力を出し切れていない印象が残る1年でもある。インターハイ予選は決勝2日前に発熱し、スタメンでの出場を回避。後半開始と共にピッチに立つと、わずか1分で決勝点を奪ってみせたが、「チームに迷惑をかけてしまった」と悔いが残る結果となった。全国の1回戦では聖望学園と対戦し、1-4で敗戦。郡自身は1点をマークしたが、存分に力を発揮したとは言い難い。また、選手権予選は大会途中に右足を負傷し、決勝は満身創痍の状態でプレーを強いられた。多くの決定機を作り、自身も1得点。6-1の大勝に貢献したが、PKの失敗を含め、「万全のコンディションで観たかった」とも思わせる場面があったのも確かだ。
ただ、きっちり全国の舞台へと進めたことは大きな価値があり、相手の意表を突く郡らしいプレーへの期待が高まる。鍵となるのはいつも通りのプレーができるか。自身のコンディション面だけでなく、「僕がボールに触ることを増やすことが大事。ボールにかかわりながら、相手をはがす場面が増えれば、いつも通りのリズムが出てくる。そこで先制点が生まれて心の余裕ができて、勢いも出てくる」と郡は口にする。
「自分たちの代よりも力があると思っていた一昨年のチームもPK戦で負けてしまうくらい難しい大会。一戦一戦、死ぬ気で頑張らいないと勝てない」と自己分析する一方で、「どこのチームも自分たちより力が上だと思うけど、攻撃のボール回しは全国でも通用する力はあると思うので、そこを出せれば」と続けるように自信もある。最後の最後に特大のポテンシャルを発揮できるだろうか。
取材・文=森田将義
By 森田将義