<選手権フォーカス>【岡山学芸館】ようやく手にした選手権切符 県三冠を手に全国で躍進狙う

野島奨

岡山学芸館の主将MF野島奨 [写真]=森田将義

 これまで3度のインターハイ出場を経験し、近年はコンスタントに県の上位に食い込む岡山学芸館だが、選手権出場は今回が初めて。就任9年目を迎えた高原良明監督は「長かった。作陽や玉野光南とベスト8で当たって、壁を越えられずに苦しんできた。ここ数年は、インターハイには出られたけど、選手権は別。夏は勢いで行けるのかなと思うけど、冬は勢いだけではダメだと思い知らされた」とこれまでを振り返る。

 ただ、苦しんだこれまでとは違い今年は、例年以上に年間を通しての強化が順調に進んでいた。2月の新人戦で一つ目のタイトルを獲得。夏のインターハイ予選では危なげない戦いを披露し、全国まで進むと1回戦では京都橘と対戦。U-19日本代表FW岩崎悠人の先制点を皮切りに失点が続き、結果こそ0-3で終わったが、「橘さんと対戦して、負けはしたけどやれないことはないと実感できた。特に相手を見ながらボールを動かし、サイドを崩せたら、攻撃は全国でも通用すると思った」と、指揮官は話す。

 確かな手応えを得たものの、選手権への道はそう簡単ではない。昨年も夏の王者になりながら、選手権予選は準々決勝で作陽に敗退するなど、難しい道のりになることは分かっていた。今年はさらに県2冠を達成し、追われる立場となったことも難しさが増す要因となったが、指揮官は「県のタイトルは2つ獲ったけど、選手権は1度も出たことがない。うちらはチャレンジャーだ」とメッセージを伝え、自分たちの力を過信せずスタイルを貫くことを求めた。

 その結果、苦しみながらもトーナメントを勝ち上がり、決勝では玉野光南と対戦。前半は無得点で終わったが、後半に入ると主将MF野島奨のオーバーヘッド弾を含む4点を奪って、初の選手権出場を掴んだ。「ボールコントロールなど技術面がしっかりしている子が多い。突出した選手はいないけど、チーム全体でハードワークしながら、ボールを出したら動くサッカーができたことが結果に繋がった」と高原監督が話すように、この一年積み上げてきた物をしっかり発揮できたことが勝因だった。

 全国では初戦で、山梨学院と対戦。高原監督は「まずはインターハイで果たせなかった初戦突破を果たしたい。上位も狙っているけど、まずは目の前の相手にきっちり勝つことが大事だと思っている」と口にする。予選同様に奢らず自分たちの色を出すことができれば、目標クリアも十分可能だ。

取材・文=森田将義

モバイルバージョンを終了