第95回全国高校サッカー選手権大会の応援歌は、高校時代にデビューを果たし、力強い歌声や歌詞で多くの人々を魅了してやまない家入レオが、「真っすぐに頑張っていると感じたことを、そのまま描いていきたいと思いました」と話す、自身で作詞した書き下ろしの新曲『それぞれの明日へ』となった。
応援歌に込めた想いや自身の高校生時代、来年にデビューから5周年を迎えるこれまでの活動についてなどを聞いた。
インタビュー=小松春生
■私に委ねていただけたことが本当に嬉しかった
まず、応援歌のオファーが来たときの心境からお聞かせください。
家入レオ(以下、家入) 高校サッカー選手権大会の応援歌は毎年、とても素晴らしいアーティストの方々が担当されてこられたので、オファーをいただいた時、すごく嬉しかったです。高校サッカーの番組プロデューサーの方にお話をうかがう機会があったんですが、「家入さんが思う応援歌にしてほしい」と言っていただけて、私に委ねていただけたことが本当に嬉しくて。今大会に出場する選手の皆さんもそうですし、「一生懸命頑張っている人に伝えられることは何だろう」と考え、歌詞を作りました。
その中で、特に家入さんが伝えたいと考えたことは何でしょうか?
家入 まず、皆さんが、どういった姿勢でサッカーに取り組んでいるのか、ちゃんと感じないとリアルな言葉が出てこないと思ったので、映像をたくさん見ました。客観的にサッカーを知ろうとする前までは、仲間で友達なんだけど、ライバル意識がすごくあるんじゃないかなと思っていたんです。レギュラーになれるのも本当に一握りですし。だけど、映像を見た時に、選ばれた側と選ばれなかった側がこんなにも熱い絆で結ばれているんだって。「俺は選ばれなかったけど、ちゃんとグラウンドで頑張ってこいよ」と言えている。絶対に悔しい気持ちがあるはずなのに、「10代でそんなこと言えるんだ」と思ったんです。そこがすごく突き刺さってきて、「胸を張れよ、と笑顔で託された熱い仲間の願い」という『それぞれの明日へ』の歌詞が生まれました。真っすぐに頑張っていると感じたことを、そのまま描いていきたいと思いました。
ピッチに実際にプレーしている選手だけでなく、メンバーには選ばれなかった仲間たちへのメッセージも含まれているということですね。
家入 そうです。舞台に立たなくても頑張っている人たちはたくさんいるし、そういう場所に立つことが全てではないと思っています。
■寄り添った言葉を紡ぎました
ご覧になった映像で印象的なものはありましたか?
家入 『最後のロッカールーム』がすごく胸に突き刺さりました。みんなは自分の輝いているところ、涙とか悔しさを隠そうとするんです。男の子だし。私が彼らの立場でも同じことをすると思います。他の人には見せたくない、でも、どこかで神様や自分が信じている人が、そういった頑張りを見てくれていると思えるから頑張れているんじゃないかなって感じたんです。だから、くじけそうな時にこの歌を聴いてもらって、「家入レオはちゃんと自分の頑張りをわかってくれているんだ」と思っていただけるように、寄り添った言葉を紡ぎました。
ちなみに、家入さんはこれまでにサッカーとの関わりがありましたか?
家入 ニュースで試合結果を見たり、何回かスタジアムに足を運んだことがありますけど、雰囲気を楽しんでいた程度ですね。実は、福岡時代の学校の1つ上の先輩に猶本光さん(浦和レッズレディース)がいて、廊下ですれ違う時に挨拶をしたりしていたことはあります。
ご自身はどんな高校生でしたか?
家入 高校2年生の時にデビューをしたので、学校にちゃんと通うことはできませんでした。その中で、すごく嬉しかったことがあったんです。高校時代の私は内向的でしたし、みんなからの「どこか行こうよ」という誘いも仕事などで行けなかったんです。学校もほとんど早退のような感じで。でも、高校3年生の時のある朝、いきなりクラスの朝礼で先生に呼ばれて、怒られるのかなと思ったら、みんなが寄せ書きを書いてくれていたんです。学校行事にも積極的に参加したいタイプではなかったんですが、クラスのみんなが、ちゃんと高校の時の気持ちを味わってほしいと思って行動してくれたみたいで。すごく優しかったなと、今振り返っても感じます。
■MVで共演した高校生は、もう可愛かった!(笑)
お話しにも出ましたが、高校生でデビューしてから活動5周年を迎えます。これまでの活動は、長いようで短いようで、だと思いますが。
家入 時間経過がすごく不思議と言うか、1日がとても早いですけど、1年は長く感じたんです。デビューからちょうど5年となる来年の2月15日にベストアルバムをリリースすることが決まり、改めてラインナップを見ていると、「この曲を作った時はこんなことがあったな」と感慨深くなったり。いろいろなことを思い出しますし、本当にいろいろな人に支えられていることを実感します。
音楽はその時の思い出のシーンと重なって蘇ってきます。
家入 映像や写真とは違い、いい言い方ではないですが、自分の都合のいいように思い出を美化できる面もあると思います。過ぎてしまったことだから、なおさら名残惜しい気持ちでいろいろなことを思い出すからいいですよね。そういった思い出の1年1年の積み重ねをしていきたいですね。家入の曲を聞いたら、「当時失恋したな」とか「仕事うまくいっていなかったな」とか。お互いにそうやって、私の曲が思い出のアルバムになっていくように年を重ねていけたらいいなと思います。
『それぞれの明日へ』のMVでは高校生のオーケストラと共演されました。また、いろいろな部活動に励む高校生が映し出されています。今の高校生の印象はいかがでしたか?
家入 もう可愛かった!(笑) でも、やっぱり戻れないんだなっていう思いもありましたね。部活も訪問しました。本当に生き生きしていましたし、寒い中での撮影でしたけど、みんな時間がない中で練習して、すごく頑張ってくれて。撮影中にはスーパームーンも出てきて、すごく幻想的なMVになりました。高校生のパワーというか、「やりたい」「頑張る」っていうエネルギーを包み隠さない。大人って、頑張っていることを見せるのが格好悪いと感じることがあると思うんですけど、とにかく真っすぐでしたね。
全国高校サッカー選手権大会の応援歌ということで言えば、2大会前に担当された大原櫻子さんと親交があるそうですが、お話しされましたか?
家入 今回の応援歌が決まった時、すぐに連絡が来ました。「今日イチ嬉しいニュースが飛び込んできた!」って言ってくれて(笑)。嬉しかったですね。
決勝戦を行う埼玉スタジアム2002で『瞳』を歌われました。
家入 もちろん見ました。すごく真っすぐで、本当に素敵な歌声を持っていらっしゃるアーティストさんなので響きます。スタジアムで歌うことはなかなかないことです。だから、どういう空気感なんだろうとワクワクしている気持ちと、同世代の人たちがたくさん見に来られると思うので、楽しみな気持ちがありますね。
■前に出ている方が“素”でいられる
大きい舞台という点では、来年4月に初となる日本武道館公演を開催することが発表されました。
家入 デビュー5周年をこういった形で迎えられることになり、ファンの皆さん、応援していただいている方たちにありがとうという気持ちを伝えることが大事だと思います。喜んでいただいている顔が見られるようなステージにしたいです。
家入さんは、大きい舞台に立つ時に心がけていることはありますか?
家入 舞台に出ちゃった方がすごく楽というか、そこに立つ“家入レオ”になれるんです。日常生活を見られることよりも、前に出ている方が“素”でいられるところはあるかもしれないですね。見られているという意識の中で自分を作っていけるので。スイッチをオフにしている時を見られることはすごく怖いです。舞台に立つ前にやることとしては、10代の頃は緊張した時、体育座りをしていました。精神統一みたいな感じで。
自分と向き合うんですね。
家入 そうです。あとは深呼吸をすることと、香りを大事にすることです。毎朝、アロマを焚いてその中で深呼吸を数回繰り返す瞑想のようなことをしていて。その時に焚くアロマの香りを嗅ぐとすごくリラックスするんです。1年間に何十回も大きな舞台に立つわけではないので、そういったときに日常と変わらないアイテムを持っていくと落ち着くのかなって思います。例えば、選手の皆さんであれば、いつも聞いている曲が緊張している気持ちに混ざっていくだけで緩和されると思いますよ。
■何でもいいので、打ち込むことをすごく大切にしてほしい
では最後に、今大会に出場する高校の選手たちへメッセージをお願いします。
家入 なぜ、今大会の応援歌を『それぞれの明日へ』というタイトルにしたかというと、全国高校サッカー選手権大会は、もちろんすごく大きいものだと思いますけど、その大会を経験して、その後の人生に生かしてほしいと思ったんです。大きいステージに見えても、「自分はここで終わりじゃない」「世界に羽ばたきたい」と思えば、張り詰め過ぎずに臨めるものに見えるのかなって。「ここがゴールではなく、ここからスタートなんだ」という気持ちで挑んでほしいという思いがあったので、『それぞれの明日へ』というタイトルにしたんです。勝ち負けが出てしまう世界なので、傷つくことも落ち込むこともあると思いますけど、そこの結果が全てではないから、思い切りプレーを楽しんで、悔いがないようにしてほしいです。
高校生全体へのメッセージもお願いします。
家入 自分の好きなものを何でもいいので、極めてほしいです。高校生くらいの子たちに「自分には何もない」といった内容のメールやファンレターをもらうことが多いんです。でも、探そうとすると大それたものになるけど、「漫画が好き」とか「料理が好き」とか「あのバンドが好き」…とか。そういったものでいいと、私は思っています。好きなバンドがいるのであれば、そのバンドのライブに通いつめるとか。そういった積み重ねが後々いろいろなことにつながってくると思います。何もせずにダラダラ過ごすのではなく、何でもいいので、打ち込むことをすごく大切にしてください。それが絶対に明日へつながるので。
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By 小松春生
Web『サッカーキング』編集長