昨年の選手権では兄・稀生(左)とともにCBコンビを組んだ生駒仁(右) [写真]=森田将義
183センチの体躯を生かした競り合いに、足元の技術も水準以上。加えてサイドバックなどもこなせるユーティリティー性も備える。昨年は期待の1年生として選手権に挑んだ鹿児島城西のDF生駒仁(2年)は今年、大会注目選手の一人として臨む。
全国的に注目を集めるようになったのは高校に入ってからだが、中学時代も鹿児島育英館で全中を準優勝。個人としても優秀選手に選ばれる活躍を見せていた。高校に進学してからもポテンシャルの高さが評価され、すぐスタメンに定着。さらにはJクラブのスカウトの間で名の知られた存在となった。当初は「全部のスピードが速くて、少しでも気を抜くとその隙をつかれてしまう」と、周囲のレベルの高さに戸惑いも見せたが、持ち味である競り合いの強さを発揮するとともに、「最初はミスをしたらどうしようとか考えていたけど、インターハイ予選からは遠慮がなくなった」と、上級生にも物怖じしない気持ちの強さも見せ始めた。
また、2歳年上の兄・稀生(現・大阪学院大)がチームメイトだったことも影響が大きかった。昨年は兄弟でCBコンビを組んで選手権に出場。当時、「兄弟揃っての出場は全国でもめったにないとよく言われるので、弟が横にいて良かった。親には恩返しができたかなと思う」と稀生は口にしていた。1回戦の札幌大谷戦では、「プレーのやり方を互いに分かっている」(稀生)という兄弟ならでは利点も要所で発揮。仁は初めての大舞台とは思わせないほど落ち着いたプレーを見せたが、PK負けを喫した。
初めての選手権は涙で終わる結果となったが、2年目を迎えた今季は兄・稀生が「高さがあって、1対1も強い。これから2年間しっかり鍛えれば必ずプロになれる」と太鼓判を押していた通り、大きく知名度を上げている。今までは一部の人に知られた存在だったが、3月にU-17日本代表に選ばれ、初めて日の丸を背負った。緊張からか初めてピッチに立ったサニックスカップのU-17韓国高校連盟選抜戦ではぎこちなさも目についたが、続いて挑んだU-17北京選抜の試合ではショートコーナーからヘディングで得点を記録。課題もあったが、ポテンシャルの片鱗をしっかりと見せた。選手権予選でも5試合を1失点で終えるなど安定した守りを披露。大きく知名度を上げた今年は、昨年の雪辱を晴らすための準備が進んでいる。
取材・文=森田将義
By 森田将義