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佐賀東 PKストップが流れを呼び込み、競争の激しいFW陣が結果を残す

2017.01.03

佐賀東が3回戦に進出した [写真]=岩井規征

取材・文=本田好伸(提供:ストライカーデラックス編集部)

 2回戦からの登場となった両者の対決は佐賀東に軍配が上がった。立ち上がりからいいリズムで攻撃を仕掛けていた鵬学園は16分、越田瞬のドリプル突破でファウルを誘ってPKを獲得。このチャンスを任された千葉東泰共が思い切ってシュートを放ったが、佐賀東のGK中島豊輝がシャットアウトし、チームの窮地を救う。すると無得点で迎えた後半7分、佐賀東はゴール前に抜け出した中里知己が先制点を奪うと、続く15分にも中里がゴールをゲット。これで佐賀東が主導権を握ると、試合終盤に松田凜太郎、永田雄暉のゴールで突き放して4-0で大勝を収めた。鵬学園は2年前の第93回大会の覇者・星稜を破って今大会に初出場したが、1回戦突破の夢はかなわなかった。

 鵬学園は全国大会の経験こそないものの、石川が誇る強豪・星稜を破っての初出場に意気揚々とこの舞台のピッチに立った。そして序盤から臆することなく戦い、「プラン通りに進められていた」(赤地信彦監督)という中で、越田瞬の果敢な中央突破からPKを獲得し、最初のビッグチャンスを迎えていた。

 キッカーで登場したのはキャプテンの千葉東泰共。しかしこのシュートは、相手のGK中島豊輝に完璧にコースを読まれて止められてしまう。この1点が、勝敗を大きく左右するポイントとなった。

 中島は、「PKもそうだし、シュートストップもいい。GKとしては上背こそないが、それ以外のところはかなりいいものがある」と、蒲原晶昭監督が太鼓判をおす選手。「PKを止めてくれたことで選手が勇気をもらったと思う」(蒲原監督)と、佐賀東はそこから少しずつ自分たちのペースをつかんでいった。

 試合の中で相手との噛み合わせを理解し始めた佐賀東の選手たちは、中盤の制し合いで主導権を握り、自分たちのプレースペースをつくり出していく。前半は無得点で折り返したものの、迎えた7分、井手威丸が頭でつないだボールに抜け出した中里知己が、GKとの1対1を確実にゴールに結び付けて先制した。

 さらに後半15分、前線でボールを奪った中里が巧みにボールをコントロールしてゴールに向かい、連続得点を奪った。中里は後半の立ち上がりに訪れた二つのチャンスを両方とも得点につなげる得点力の高さを見せ、試合の流れを決定的なものにした。

 佐賀東はこの試合、1トップに近い形で中里を起用したが、「今年は前線の選手にレギュラーはない。中里も20名の登録に入っていたか分からないくらい紙一重の争いをしている」(蒲原監督)と、日頃からFW陣のポジション争いは激しい。それでも、蒲原監督の問い掛けに「点を取ります」と応えた⑨中里の顔を見て、指揮官は彼をスタメンに選び、そして2ゴールという結果を残した。

 終盤に左CKからフリーになった松田凜太郎が頭で決めてリードを広げた佐賀東は試合終了直前、途中交代で入った3年生FW永田雄暉も決定的なチャンスを確実に決めて勝利に華を添えた。

 蒲原監督は試合後、「高校生なので、点が入った、入らないということがものすごく大きい」と語り、「PKを決められていたら、逆の展開になっていた可能性も十分にある」と振り返った。そうした意味では、守護神が勝敗を左右しかねないPKを確実に止め、自分たちが手にしたチャンスをFW陣が確実に得点につなげた佐賀東は、ゲームの要所を押さえることで勝利を手繰り寄せたといえる。

 2回戦からの登場という難しさの中で初陣を飾った佐賀東。「選手権でチームの土台をつくって、来年、再来年ともっと進化させていきたい。だからこそ今年は、3年生は少ないが、行けるところまで行かせてあげたい」(蒲原監督)。果たして、佐賀東の快進撃はどこまで続くのか──。

(試合後コメント)

佐賀東
蒲原晶昭監督
前半で0-1になってしまうかどうかでは全然違うので、GKがPKを止めてくれたことが大きかった。こちらはボールを動かそうとしながらも、勇気を持ってつなぐことができず、単調に背後を狙っていったところで失ってしまっていた。それで相手がFWを狙って蹴ってくるという展開を打開できていなかったが、後半に点が入ったことで少しは力が抜けてきたのかなと。今大会は3年生は少ないが、行けるところまで行かせてあげたい。

鵬学園
赤地信彦監督
うちは決めなければいけないところで決められず、相手はうちのミスでしっかりと決めた。全国の舞台はそういうところだと実感した。3年生はこれで最後だったし、試合を重ねるごとにもっといい雰囲気になっていくはずだったので、1日でも長くそれを味あわせてあげたかった。ただ彼らは、今までやってきたことを信じて続ければ、全国といういい舞台に立てるということを証明してくれた。選手権は最高の雰囲気だったし、また来たい。

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