先制点を決めた青森山田DF三国 [写真]=兼子愼一郎
取材・文=平野貴也(提供:ストライカーデラックス編集部)
互角の立ち上がりから青森山田が先制。接触で倒れる選手が出た場面でプレーを止めず、左DF三国スティビアエブスが左のハイサイドから右足で決めた。しかし、3分後に東海大仰星がロングスローの二次攻撃から松井修二がボレーを決めて追いついた。それでも前半終了間際、青森山田はロングスローのこぼれ球から高橋壱晟が決めて勝ち越しに成功。互角のまま進み、東海大仰星が終盤に決定機を得たが決め切れず、青森山田が逃げ切った。
青森山田の左DF三国スティビアエブスが個人技で決めた、先制点が見事だった。前半23分、ピッチ中央付近で縦パスを受けたMF郷家友太が接触プレーで倒れたが、構わずにプレーを続行。全体の足が止まった瞬間、三国が快足を生かしてハイサイドへと突破した。左足で構え、クロスかと思ったところで切り返して相手をかわすと、右足でカーブを描くシュートを見事に決めた。黒田剛監督も「普段は決めないのにな」と思わず笑みを浮かべたが、好判断だった。
三国はサイドバックとなった今季は、シュート練習を行っていないという。しかし、それでも「いつもはシュートを打つことがないけど、今日は積極的に打って良いコースに行った。ここから巻けば絶対に入ると思った。シュート練習は、今年は1回もやっていないけど、昨年まではボランチやサイドハーフをやっていたので、そのときにやっていたシュート」と自信を持っていたという。
これまでに見せていなかっただけに、相手も意表を突かれた。東海大仰星のGK宮本一郎も「カウンターで1人目の守備がかわされて、僕自身が前めのポジションを取っていたので……。左足でシュートかクロスだと思ったところで、切り返されたので、上を越されてしまった」とイメージになかったことを明かした。
ただし、勝敗を分ける決勝点とはならなかっただけに、三国は「失点をしてしまったので、守備陣としては、そっちの反省が大きい」とも話した。
次戦は、いよいよ決勝戦。攻守両面で活躍する可能性がある三国のプレーから目が離せない。
(試合後コメント)
青森山田
黒田剛監督
昨年越えられなかった準決勝を1つ越えたことに関して、選手を労いたい。幸先よく先制したが、その後のキックオフにふわっとしたまま入ってしまった。笛が鳴ってもまだ水を飲んでいる選手もいた。ただ、前半の終わりにエースの高橋が点を決めてくれて、1点リードで終えられたことがすごく大きかった。相手は、東福岡戦で後半にかなり前へ走って勢いを出していたので、前半でリードをしておきたいと考えていた。
6番 住永翔
失点は、自分の判断ミス。相手がボールを蹴れるタイミングでラインを上げてしまった。普段なら、あの位置から、あの体の向きで、ファーサイドまで蹴れないと思うけど、それが出てくるのが選手権なんだと思った。
5番 三国スティビアエブス
失点してしまったことは、まず反省点。先制点の場面は(接触プレーで)笛が鳴るかなと思ったけど、鳴らなかった。スペースががら空きで、スピードには自信があるので、行けばチャンスになると思った。決勝は、今までやってきたとおりに、失点ゼロで集中力を切らさずにプレーして勝ちたい。