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7年前に見た舞台に憧れて…青森山田のエース・高橋壱成、初優勝を置き土産にプロへ

2017.01.10

高橋は決勝戦で先制ゴールを挙げた [写真]=兼子愼一郎

取材・文=松尾祐希(提供:ストライカーデラックス編集部)

 決勝戦は決定力の差が勝敗に直結する展開となった。序盤から攻勢を仕掛けたのは前橋育英だが、ことごとく好機を決め切れない。一方の青森山田は好機を作り出せていなかったが、前半23分に鳴海彰人の右クロスから高橋壱成が決めてファーストチャンスをモノにして流れを引き寄せる。同アディショナルタイムには嵯峨理久が追加点を奪い、後半に入ると迎えた決定機をほぼ決め切った。終わってみれば5-0の圧勝。どちらが勝っても初優勝という中で、青森山田が初の選手権優勝を成し遂げた。

 悲願の初優勝を成し遂げた青森山田には、頼れる10番がいた。

 相手に押し込まれ、ほとんどチャンスを作り出せていなかった中で迎えた23分。右サイドを突破したFW鳴海彰人のクロスに、中央に走り込んだ高橋壱成が左足で合わせてチームに先制弾をもたらした。これで初戦となった2回戦から決勝まで5戦連発。まさにエースと呼ぶに相応しい活躍ぶりだった。

 昨年もこの大会で4得点を挙げ、全国に名前を轟かせた高橋だが、今大会はさらに成長した姿を見せつけた。その理由は選手権があこがれの舞台だったからである。彼は中学校から青森山田の門をたたいたが、進学先に選んだ理由の1つは7年前の選手権で準優勝を果たした姿を見たから。2年生だった柴崎岳(現鹿島アントラーズ)などが大舞台で躍動し、「あんなにすごい舞台でサッカーをやりたいと思った」(高橋)。そこから偉大な先輩たちを越えるべく、6年間みっちりとトレーニングを積んだ。青森ということで冬は満足のいくトレーニングもできず、雪の上で3つのボールを使って20対20のゲームをすることもあった。他の高校では考えられないような練習を乗り越えることができたのも、幼いころの記憶が脳裏にあったからである。

 だからこそ、最後の選手権は負けるわけにはいかなかった。

 プレミアリーグEASTの開幕戦の流経大柏戦後に彼は「試合を決められる選手になりたい」と語っていたが、その課題と1年間向き合えたのも最後の冬に勝ちたかったから。「このレベルで活躍ができなかったら、Jで活躍できないだろうという強い気持ち。自分が必ず決めて勝利に導くというのが、表に出てくるようになった」と、そのプレーに黒田剛監督も賛辞を送った。

「まさか優勝できるとは思っていなかったけど、本当にここに来て良かった」。うれしそうな表情で語った男は青森山田に選手権初優勝という置き土産を残し、プロの世界へと歩みを進める。

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(試合後コメント)

青森山田
黒田剛監督
悲願の初優勝でした。U-18高円宮杯チャンピオンシップから日もない中で、選手たちの疲労度、コンディションの部分できついところがあったのですが、最後の最後まで息つく暇もなく一生懸命走り回ってくれたなというのが率直な感想です。今年は昨年の選手権で3位に終わったので、何としても埼スタでリベンジをしたかった。だから、春先から頑張ってきた選手たちでした。今日のゲームも立ち上がりから厳しいゲームでしたが、エースの高橋壱成が決めてくれて、前半終了間際に嵯峨理久が決めてくれた。その中でハーフタイムに伝えたのは2点差がいちばん危ないということでした。同点、逆転までは1、2分あればすぐにしてしまう。22年間の中でロスタイムの中でひっくり返されることは嫌というほど経験してきているので、そこを伝えました。後半は失点をしないことを着実にDF陣はやってくれたと思います。決定機も体を張って防いでくれた。サブの選手も含めて青森山田全体の勝利だったと思います。雪国の豪雪地帯の中で本当に選手たちは成長してくれた。息子もいたので僕も涙が出てしまいました。22年間の監督人生の中でこの日を迎えられたので、本当にうれしかったです。

10番 高橋壱成
高円宮杯も制していたけど、選手権優勝がずっと目標だったので、今回の優勝のほうが上だった。(自身の活躍に関して)5戦5発はできすぎて、ここでこんなにうまくいくことはなかった。選手権前に得点が取れていなかったので、直前合宿で感覚を戻そうと思っていたので、うまく大会に入っていくことができた。

前橋育英
山田耕介監督
今日のゲームは5-0ということで、本当にショックが大きい。ただ、夏の総体県予選初戦で敗退をして、何とかここまで彼らが成長をしてくれて、高校サッカー選手権で準優勝できたことは良かったと話しました。今年は力がなかった中で最後に結果を出し、「一歩ずつ進んでやってきたのだから、胸を張って群馬に帰ろう」と伝えました。ただ、5-0は忘れてはいけない。その話も彼らにしてきました。(フィニッシュ精度が課題になりましたが)立ち上がりはウチが良いペースで結構チャンスがあった。そこで点が取れれば、良い勝負になったと思うのですが、GKからのボールに一発でやられて対応ができなかった。今日のキーワードはロングスローとGKのキック、アンカーの脇を狙おうと話したのですが、まんまとやられてしまった感じがします。

7番 大塚諒
今までの中で史上最悪な代と言われて悔しい想いがあったからこそ、ここまで来ることができた。見返したいと思っていましたが、感謝の気持ちがあったので監督を胴上げしたいと思っていた。

10番 飯島陸
廣末さんの守備範囲は本当に広かったのでやりづらかった。スペースがなかったので良さを出せなかったのかもしれないですけど、自分が周り見えていなかったというのがゴールを取れなかった理由としていちばん大きかった。

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