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柏レイソルU-12がダノンネーションズカップ日本大会優勝! 米国での世界大会で初優勝目指す

2017.03.29

ダノンネーションズカップを制した柏レイソルU-12  [写真]=本田好伸

 12歳以下の世界一を決めるサッカー国際大会「ダノンネーションズカップ」の日本予選、「ダノンネーションズカップ2017 in JAPAN」が3月25日、26日に東京・駒沢オリンピック公園総合運動場で開催され、柏レイソルU-12が大会制覇。10月にアメリカで開催される世界大会への切符を手にした。

 ダノンネーションズカップは、2000年から続く小学生年代の国際大会。世界的な食品企業ダノングループが主催し、現在では世界32カ国で予選大会が行われ、毎年、全世界で約250万人が出場している。

[写真]=本田好伸

 日本では2004年から大会がスタートし、近年では2012年にレジスタFCが準優勝、2013年に横浜F・マリノスプライマリーが3位、2014年に横河武蔵野フットボールクラブジュニアが日本代表として初優勝を飾り、昨年はヴァンフォーレ甲府U-12が準優勝を遂げるなど、世界大会でも好成績を収めている。

 また今大会は、子供たちの技術的な成長を促すだけではなく、食育や国際交流、社会貢献などの参加型イベントを行うことで、学びの場を提供している。そうした意味で、大会期間中のアクティビティを含めたピッチ内外の立ち居振る舞いを評価する「フェアプレー賞」の価値が高く、2014年に横浜F・マリノスプライマリーが日本代表として初受賞した際には、同行したコーチ陣も、大会の成績以上にこの賞を誇っていた。

監督の指示を受ける選手たち [写真]=本田好伸

 世界大会は、毎年様々な地域で開催され、これまでにレアル・マドリード(スペイン)の本拠地サンチャゴ・ベルナベウや、“サッカーの聖地”ウェンブリースタジアム(イギリス)などでも実施されてきた。子供たちにとってはまさに「夢の大会」であり、今年もまた、日本代表の座を懸けて激しい戦いが繰り広げられた。

 20都道府県から集まった48チームは、25日に4チームずつの予選リーグを行い、各グループ上位2チームが、26日に3チームずつの決勝リーグに進出。さらに上位1チームが決勝トーナメントを戦った。2日間で最大8試合という過酷な日程の中、4強に残ったのはレジスタ、川崎フロンターレU-12、柏、バディサッカークラブ。特に26日は雨降りしきる中での戦いとなり、選手たちはまさに“死闘”を勝ち上がってきた。

決勝は川崎vs柏の対戦に [写真]=本田好伸

 そして準決勝を制した川崎と柏が、多くの観客が見守る中で決勝戦に臨んだ。互いにチームの特徴を出し合うハイレベルな攻防を繰り広げる中、先にチャンスを作ったのは柏。10分ハーフの前半、左サイドを突破した伊達歩由登が自らゴールを奪って先制に成功した。

 対する川崎も、すぐさま攻め込むと、ゴール前の混戦を押し込んで同点。試合は20分で決着がつかず、PK戦へともつれ込んだ。そして3人ずつが成功して迎えた4人目、川崎の13番・岡野一恭平のシュートをGKがシャットアウト。柏は青木空斗が直後のシュートを確実に決めて激闘に終止符を打った。

優勝を決めた瞬間の柏レイソルU-12の選手たち [写真]=本田好伸

 この瞬間、柏の選手たちは青木の元に駆け寄り歓喜の輪を作り、同時に川崎の選手はその場に崩れ落ちた。柏の根引謙介監督は、「このチームは決して、例年に比べても止める蹴るといったベースが高いわけではない」としながらも、「キャラクターは非常に良いものがあり、選手は自分の色をピッチで出してくれていた」と労った。そして、「この大会で戦った皆さんの思いを背負って、日本代表としての誇りを持って、変わらずに1戦1戦やってきたい」と、世界大会への意気込みを語った。

 ちなみに今大会期間中は、アディダス社の全面協力によるチャレンジ企画やドリブルデザイナーの岡部将和によるドリブルチャレンジ特別クリニック、同社スパイク開発担当者による「スパイク選びのポイント」のトークイベント、ダノン商品の試飲・試食、そして2011年のなでしこジャパンのワールドカップ優勝の立役者の一人、宮間あやのトークショーなどが行われ、出場選手、保護者、観客など数千人が会場に詰め掛けていた。

岡部将和氏によるドリブル講座 [写真]=本田好伸

 宮間は、「私は小学校5年生の時に初めて海外の選手と試合をしてコテンパンにやられた。そこでビビってしまって何もできなかったが、絶対に勝ちたいと思って、次の年にもう一度ぶつかって、それでも負けた。でもその時の負け方が全く違った。次は勝てる、勝つようにできると思えた自分がいたので、やはり戦う上で、ビビって何もできずに終わることほどもったいないことはない。今の自分の120パーセントを出してほしい」と、世界を見据えて戦う子供たちに向けてアドバイスした。

宮間あや

トークショーに登場した宮間あや [写真]=本田好伸

 柏は今年10月、アメリカ・ニューヨークでの開催が決まっている世界大会に日本代表として出場する。表彰式に特別ゲストとして出席したなでしこジャパン前監督・佐々木則夫氏は、「柏には、昨年の甲府の準優勝を上回る、世界制覇を目指して、ぜひサッカーを楽しんでほしい」とエールを贈った。

佐々木則夫

プレゼンターを務めた佐々木則夫氏 [写真]=本田好伸

 柏の優勝で幕を閉じた「ダノンネーションズカップ2017 in JAPAN」。歓喜、涙、怒り、悔しさ、葛藤、迷い、興奮……様々な感情がピッチでぶつかり合った。参加したすべての選手にとって、何物にも変えられない貴重な経験となり、この先の大きな“きっかけ”となる大会になったことだろう。

[大会結果]
優勝:柏レイソルU-12(千葉県柏市)
準優勝:川崎フロンターレU-12(神奈川県川崎市)
3位:レジスタFC(埼玉県八潮市)、バディサッカークラブ(東京都)

フェアプレー賞:福山ローザス・セレソン
得点王:石井久継(福山ローザス・セレソン)、貴田遼河(東京ヴェルディジュニア) 6得点
MVP:伊達歩由登(柏レイソルU-12
ベスト8:橋本陸斗(東京ヴェルディジュニア)、齋藤俊輔(横浜F・マリノスプライマリー)、名賀海月(川崎フロンターレU-12)、石井久継(福山ローザス・セレソン)、早間美空(福山ローザス・セレソン)、伊達歩由登(柏レイソルU-12)、村田侑大(柏レイソルU-12)、二平昂大(レジスタFC)

取材・文・写真=本田好伸

By 本田好伸

1984年10月31日生まれ。山梨県甲府市出身。日本ジャーナリスト専門学校⇒編集プロダクション⇒フットサル専門誌⇒2011年からフリーとなりライター&エディター&カメラマンとして活動。元ROOTS編集長。2022年から株式会社ウニベルサーレ所属。『SAL』や『WHITE BOARD SPORTS』などに寄稿。

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