WEST連覇、そしてチャンピオンシップ制覇を目論む広島ユース [写真]=川端暁彦
年間を通じたリーグ戦を育成年代にも導入しようと始まった高円宮杯U-18サッカーリーグ。その最高峰に位置付けられるプレミアリーグは全国をEAST(東日本)とWEST(西日本)の2ブロックに分割し、各10チームがホーム&アウェイの2回戦総当たり方式で年間1位を争う(と同時に、下位2チームが降格となる残留争いを演じる)。その上で東西王者が12月のチャンピオンシップにおいて真の日本一を懸けて激突するという流れだ。昨季はWESTを2位に勝点6の差をつけて圧倒したサンフレッチェ広島ユースは、チャンピオンシップで苦杯。そのリベンジを企図した新シーズンに臨む。
世代最強のGK大迫敬介を筆頭に、昨季のレギュラーの過半数が残った今季の広島ユース。優勝候補の筆頭と目される戦力だが、実は新チーム立ち上げ当初は上手くいかない試合が多かった。「自分たちは弱いと思い知らされた」(FW明比友宏)。理由は「やっぱり3年生の穴は大きかった」(大迫)ということに尽きるだろう。チームは「自分たちが思っていた以上に(昨年の3年生に)頼っていた部分があった」(MF川村拓夢)現実を見つめながら修正を重ね、春休みの段階ではかなりチーム力を上げてきた。「どこにも負けていない自信がある」(明比)伝統の球際の強さと戦う姿勢は健在で、技術力の高い選手がそろった今季はその基盤の上に「精度を乗せていく」(沢田謙太郎監督)シーズンとなる。それが果たせるようなら、WEST連覇から先のステージも見えてくるだろう。
この本命を追う昨季2位のセレッソ大阪U-18は、U-17日本代表DF瀬古歩夢やSBの齋藤遼ら主力がU-23チームでの活動優先でそれほどプレーしない可能性が高い。ただ、それを補えるだけの選手がいるのもこのチーム。特に2年生は今年10月のU-17ワールドカップに向けてMF鈴木冬一、谷本駿介ら複数の選手が候補入りしている期待の世代。同じく早生まれのためにU-17日本代表の資格を持つ3年生の快足FW山田寛人の爆発にも期待が掛かる。
一方、大阪のライバルであり、昨季5位のガンバ大阪ユースは、MF梅津克貴、GK谷晃生といった選手たちが一足早くユースを“卒業”。U-23チームでのプレーに専念するため、このリーグには出場しない。EASTではFC東京が選手に二つのチームを“掛け持ち”させているが、それとは違った方法論を採用した形だ。飛び級に対して積極的な理念を掲げてきたG大阪らしい育成へのアプローチだろう。逆に言えば、そうして抜けた選手の穴を埋めるタレントが台頭してくるかが大きなポイントとなる。實好礼忠新監督の手腕にも注目だ。
昨季3位のヴィッセル神戸U-18は、プレミアリーグのJユース勢において最長在任の7年目を迎える野田知監督が今季も指揮を執る。昨季は開幕2連敗で序盤から出遅れたことが響いてしまったが、高いレベルの個と組織が噛み合った好チームだった。ただ、当時の主軸だった選手が多数抜けたことに加え、春の大会の内容から前評判は必ずしも高くない。経験値のあるU-17日本代表DF小林友希、新たに10番を託されたFW原尊といった新2年生たちの奮起が一つのポイントとなりそうだ。
神戸に次ぐ昨季4位だった東福岡高校も、センターラインの軸となっていた選手が軒並み抜け、「非常に厳しい年になるという危機感を持っている」(森重潤也監督)。U-18日本代表にも選ばれたDF阿部海大の安定感は頼もしいが、攻撃陣は例年になくメンバーも定まらず、未完成の要素が強い。新10番のMF福田湧矢、万能型MF青木真生都など魅力的な個性を持った選手はいるだけに、リーグ戦を戦いながらチームを整えていくことになる。
昨季初参戦で7位に入った神戸弘陵高校は、その経験をスタッフと選手が引き継いで新シーズンへ臨み、10番のMF竹村史明を軸に“残留以上”の戦果を狙う。また同8位で際どく残留を決めた大津高校はレギュラーの過半数が下級生となる見込み。ポテンシャル抜群の大型FW大崎舜らが戦いながら自信を付けていけば、台風の目となる可能性もある。
“昇格組”は3チーム。アビスパ福岡U-18は“最強世代”と言われていた昨季の3年生が抜けてしまったが、DF西洸瑠を軸に粘り強く戦えれば、面白い存在となりそうだ。米子北高校も同様にタレント揃いだった3年生が抜け、「昨季ほどの戦力はない」と中村真吾監督も率直に語るチーム状態。MF佐野海舟ら昨季から残る主軸選手に加え、プレミアでの戦いを通じて新たに伸びてくる選手が出るか次第だろう。また阪南大学高校もDF吉田伸弘などが残ったものの、やはり昨季の主軸の多くが抜けてしまっており、他チーム同様に序盤戦での積み上げがまず大切になるだろう。
今季のWESTは戦力的に広島ユースが頭一つ抜けている印象もあるが、その広島を含めて全体に昨季からメンバーが大幅に入れ替わって苦労している新チームが目立つ。完成度の低いチーム同士の対戦となりそうな序盤戦でどこまで勝ち点を拾えるかがまずはポイントになる。
文=川端暁彦
■Information■
スカパー!では高円宮杯U-18プレミアリーグ開幕節 全10試合を生中継!!
ユース世代の頂点を決める『高円宮杯U-18サッカーリーグ2017プレミアリーグ』は4月8日、9日に開幕節が開催。第1節はセントラル開催となりますが、スカパー!ではEAST、WESTの全10試合を生中継します。以降も毎月注目試合を生中継する予定です。
◆開幕節対戦カード
<プレミアリーグWEST>
■4月8日(土)
▽セレッソ大阪U-18 vs 大津高校
【開始】10:30
【会場】キンチョウスタジアム
【放送】Ch.801/581(スカチャン1)
▽ヴィッセル神戸U-18 vs 米子北高校
【開始】13:00
【会場】キンチョウスタジアム
【放送】Ch.801/581(スカチャン1)
▽ガンバ大阪ユース vs アビスパ福岡U-18
【開始】15:30
【会場】ヤンマースタジアム長居
【放送】Ch.801/581(スカチャン1)
■4月9日(日)
▽神戸弘陵学園高校 vs 東福岡高校
【開始】10:00
【会場】ヤンマースタジアム長居
【放送】Ch.801/581(スカチャン1)
▽阪南大学高校 vs サンフレッチェ広島ユース
【開始】12:30
【会場】ヤンマースタジアム長居
【放送】Ch.801/581(スカチャン1)
<プレミアリーグEAST>
■4月8日(土)
▽大宮アルディージャユース vs 横浜F・マリノスユース
【開始】10:30
【会場】味の素スタジアム 西競技場
【放送】Ch.800/580(スカサカ!)
▽FC東京U-18 vs 清水エスパルスユース
【開始】13:00
【会場】味の素スタジアム 西競技場
【放送】Ch.800/580(スカサカ!)
■4月9日(日)
▽浦和レッズユース vs 青森山田高校
【開始】10:30
【会場】味の素スタジアム 西競技場
【放送】Ch.800/580(スカサカ!)
▽柏レイソルU-18 vs 京都サンガU-18
【開始】13:00
【会場】味の素スタジアム 西競技場
【放送】Ch.800/580(スカサカ!)
▽市立船橋高校 vs 鹿島アントラーズユース
【開始】15:30
【会場】味の素スタジアム 西競技場
【放送】Ch.800/580(スカサカ!)
By 川端暁彦