「期待以上とまではいかないけど、期待どおりにはやってくれました」
順天堂大学を率いる元日本代表DFの堀池巧監督は、15日のJR東日本カップ2017第91回関東大学サッカーリーグ開幕戦でデビューを果たしたMF望月陸のプレーに及第点を与えた。
清水エスパルスユースから順天堂大に進学したばかりの1年生。先発起用は試合前日の夜に告げられた。「途中からだと思っていたのでちょっとビックリして、昨日はすごく緊張しました。今日も実際、しっかりと試合に入れなくて、前半は消えてしまいました」と、本人も苦笑いの出来となった大学リーグ初試合。思い描くようなプレーはできなかったが、任された右サイドハーフの位置で、無我夢中でピッチを駆け抜けた。
それでも67分、持ち味の攻撃面で確実に力を示した。右サイドでボールを受けると、迷わず縦に運び、ゴール前に走り込む旗手怜央へラストパス。「怜央くんがしっかり収めて点を取ってくれたので良かったです」。見事に先制点を“アシスト”した。
堀池監督は試合後、実は早々に望月を下げる準備をしていたことを明かした。「前半は大して働いてなかったから代える準備はしていたけど、緊張もあっただろうし、我慢していた。そうしたらチャンスに2回、3回と絡んだから」。結局、87分に足がつるまで起用し続けたのは、期待を寄せている証だ。
清水ユース時代は、2学年先輩で現在は清水のトップチームに所属しているFW北川航也に憧れた。ポジションは異なるが、「ゴールを取る嗅覚や足元の技術がすごく高いので、学べることが多くてお手本にしていた」という。現在も連絡を取り合っており、「ご飯に連れて行ってくれたり、いつもすごくお世話になっている」という仲だ。そんな尊敬する先輩から、プレーに関しては「ドリブルを極めろ。取られてもいいから何回でも繰り返せ」と助言を受けている。
その言葉通り、望月は並ならぬ緊張感に包まれながらも、積極的な姿勢を見せて得点に絡んだ。言葉でもプレーでも後輩に進むべき道を示してくれる優しい先輩へ、「(試合を)観に来てほしい」と目を輝かせた望月。自分の活躍が先輩の耳に届くように、新天地で結果を残し続ける。
文=平柳麻衣