FC東京U-18から日体大に進学した伊藤 [写真]=梅月智史
日本サッカー界が久保建英の明治安田生命J3リーグ最年少ゴールで賑わった4月15日。FC東京U-18出身の日本体育大学MF伊藤純也は、大学リーグデビューを果たした。
今シーズン、伊藤と高校時代をともに過ごしたFC東京U-18のメンバーからは、波多野豪ら4人がトップチームに昇格。他クラブを見ても、同じ歳ですでにJリーグで活躍している選手は何人もいる。伊藤は彼らの活躍について、「相当、刺激になっている」と言葉に力を込めた。だが、続いて口をついたのは、ポジティブな思いだった。
「今は差がついてしまっているかもしれないけど、大学は遠回りではないと思っている。しっかり1年生から試合に出て、早く追いつて、追い越していけるようにしていきたい」
日体大のキャプテンで、同じくFC東京U-18出身のMF輪笠祐士は、伊藤に対して「シンプルに技術が高くて良い判断ができる。攻撃にアクセントをつけたり、ゴールにつながるようなプレーが良い」と期待を寄せる。二人のFC東京U-18での在籍期間は被っていないが、輪笠と同学年に伊藤の兄・裕也(現仙台大学)がいたため、「実は密な関係なんです」と明かした。
「元々よく知っている仲だったので、大学選びの時にも僕が日体大を推したんです。日体大の良さを教えて、お前なら日体大のサッカーに合うと思うって。それだけで決めたわけではないと思うけど、かわいがってあげています。生意気ですけどね(笑)」(輪笠)
15日のJR東日本カップ2017第91回関東大学リーグ開幕戦。伊藤は0-0で迎えた67分に途中出場で大学リーグデビューを飾った。チームは69分に失点を喫し、0-1で敗れたが、伊藤は「全然緊張しなかった」とルーキーらしからぬ振る舞いで堂々とプレー。83分には、結局オフサイドとなったものの、ハーフウェイラインを越えてすぐの位置から浮き球のパスを前線の選手にピタリと上げるなど、存在感を示した。
かつてジュビロ磐田の黄金期を築いた鈴木政一監督が率いる日体大は、「クリエイティブでアグレッシブな攻撃的サッカー」を掲げ、ただ選手をプロに輩出するだけでなく、プロで通用する選手=「オールマイティ+スペシャリスト」の育成を目指している。輪笠も「日体大のサッカーはなかなか難しい」という中、入学したばかりの伊藤は日々、成長を遂げている。
「(鈴木監督からは)練習からもっと頭を動かせとよく言われます。もっと周りの状況を把握しながら、仲間に伝えたり、ポジショニングを取ったり」。時には監督の個人指導を受けることもあると言い、「守備での細かいアドバイスなどをくれるので、毎日勉強になっていて、自分的にはすごくうれしい」と充実した表情を浮かべる。
また、「体育大学」ならではの学びもある。チームメイトとともに筋トレに励む以外にも、「授業でも体のことをいろいろ勉強している。フィジカル面が自分の課題なので、4年間でもう一回り、二回り大きくなれればいい」。
高校時代のチームメイト、内田宅哉(現FC東京)からは、連絡を取り合う中でプロ生活の話を聞くだけでなく、「また一緒にできるように」という言葉をもらった。
「プロに行くならやっぱりFC東京にまた戻りたい。小さい頃から育ててもらったクラブなので、戻って恩返しをしたい。そのためには、日体大で1年目からバンバン活躍していかないと」
一足先にプロの世界へ進んだ仲間に追いつき、追い越し、やがては自分も同じ舞台で輝けるように。夢をかなえるための大事な4年間が幕を開けた。
文=平柳麻衣
By 平柳麻衣