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「怜央は負けたくない存在」…順天堂大の村松航太×浮田健誠が同期FW旗手の活躍を語る

2017.10.26

順天堂大の主力を担うDF村松(左)と浮田[写真]=梅月智史

 JR東日本カップ2017第91回関東大学サッカーリーグで首位・筑波大学を猛追する順天堂大学に、注目の2年生トリオがいる。

 その筆頭は今、大学サッカー界で注目を集めるFW旗手怜央。今夏には2年生ながらユニバーシアード日本代表として3大会ぶりの金メダル獲得に貢献するなど、活躍は目覚ましい。

 そんな彼に負けず劣らず1年時から順天堂大の主軸を担っているのがDF村松航太とFW浮田健誠だ。実は以前から2人は「一緒に活躍したい」と言いつつも、旗手に対しては「負けたくない」、「怜央が活躍すると悔しい」とライバル心をたびたび口にしてきた。

 22日、旗手の今シーズン8得点目が決勝点となった第18節・流通経済大学戦後、チームの勝利を喜びつつも内心は穏やかでなさそうな!? 村松と浮田に話を聞いた。

■怜央が目立たなくなるくらいの活躍をすることが今の目標

流経大戦で決勝ゴールを決めた旗手[写真]=梅月智史

――旗手選手の決勝ゴールで流経大に勝利しました。今の心境はいかがですか?
浮田 結局、怜央は最後の最後に仕事をしてくれる……監督が必要とする選手だなと思いました……。

村松 お前、かなり無理して褒めてるだろ(笑)。

浮田 今日みたいにピッチコンディションが悪い日は、本当は僕がもっと起点を作ったりできれば良かったんですけど……今日もいいところを彼に持って行かれました(苦笑)。

村松 怜央は苦しい時に点を取ってくれるので、後ろのポジションとしてはありがたいです。ただ、僕たち3人は1年生の時からずっと一緒に試合に出ている仲なので、僕は健誠にももう少し頑張ってほしいなと思います。今の状態ではまだまだ物足りないですね。健誠も常にいい準備はしているし、サッカーの神様はちゃんと見てくれていると思うので、いつかは……ね。

浮田 いつか爆発すると言い続けて、もう大学2年目が終わってしまいます……(苦笑)。

村松 まだリーグ戦もインカレもあるよ! たとえ来年になってしまっても、それでもいつかは爆発してくれると思っている。怜央はそんなふうに悩みを抱えるタイプでもないので、僕は健誠のことをすごく心配しています。

浮田 ここ最近はなかなか点が取れなくて、メンバーからも外れたりして少し落ち込み気味でしたけど、今日は5試合ぶりの先発出場だったので純粋に楽しかったです。

村松 蹴り合いが多くてあまり健誠の良さが出た試合ではなかったですけど、所々でいいシーンは作れていたと思います。例えば、ターンしてシュートまで持ち込んだ場面があったけど、悪い時の健誠だったらターンせずにパスを出そうとしていたと思う。だからそんなに調子は悪くないんじゃない? でも、貪欲さは足りないですね。怜央と比べたらまだまだ。健誠は謙虚すぎるんです。

浮田 間違いないですね……。ただ、怜央みたいになろうとするのは無理だし、違うと思うので、自分は自分の良さを出していけたらと思っています。メンタル面で言うと、航太もかなり強いです。マジで心がブレないんですよ。相手選手のほうが体が大きかったり、スピードがあってもぶち抜かれないし、行くべきところはガツガツ行けるので精神的に強いんだろうなと思います。

村松 なぜか分からないけど僕、対戦相手にすごく嫌がられるんですよ。大学生相手だけでなく、Jクラブと練習試合をした時にもめっちゃ文句を言われるんです。僕もプロを目指している一人なので、そういう選手にはなりたくないなと思います。

浮田 そういうところに気持ちの強さが出てるんだよ(笑)。でも、航太は相手にしたら本当に嫌な存在です。僕も高校時代に(高円宮杯U-18サッカーリーグ)プレミアリーグで対戦したことがありますけど、体を入れたり、ボールを奪うタイミングが絶妙なのでFWとしてはめっちゃ嫌でした。それでこっちがイライラし始めたら、それこそ航太の思うツボなんです。

村松 こっちは冷静だからね。「あぁ、イライラしてるな」って思いながら見ている。Jリーガーやプロ内定選手が僕と対峙してストレスを溜めるということは、それだけ僕が相手の嫌がるプレーをできているってことだと思うので、僕からしたらうれしいことです。

浮田 味方になった今は本当に頼もしいです。ラフプレーもほぼ見たことがないですし。

村松 自分が痛いのは嫌だからね(笑)。それに、正当にボールを取ることはDFとしての評価にもつながるから。まぁ、駆け引きはいろいろとやっていますけど。

――旗手選手の話に戻しますが、彼のどんなところがすごいと思いますか?
村松 どんなタイプにでもなれる選手だと思います。ストライカーにもなれるし、司令塔にもなれるし、泥臭いプレーをしろと言われたらそれもたぶんできる。周りが見えているし、技術もあるので、相手によってプレースタイルを変えられるところが一番の強みだと思います。対戦相手にはなりたくないですね。

浮田 僕は航太のほうが相手にしたくないよ。

村松 それはマッチアップの問題でしょ?(笑)

浮田 たしかに(笑)。怜央が目の前で点を決めるのは本当に悔しいし、僕が決めた時に限って怜央も同じ試合でサラッと決めたりするんですよ。同じチームでなければここまで意識することはなかったと思うし、怜央がいなかったら自分のプレーヤーとしての幅も価値観も狭いままだったと思うので、本当にいい刺激になっています。

――これからも3人で一緒に活躍していきたい、という思いはありますか?
村松 この3人でチームを盛り上げていければいいですね。昨年から怜央が一人で突き抜けている感じになっていて、健誠は同じポジションとして悔しいだろうし、僕はポジションは違いますけど、常に一番の評価を受けたいという思いがあるので。そういう意味では、僕も健誠もまだまだ課題はあります。でも、大事なのは卒業後。今はまだ通過点なので、3人で切磋琢磨していければいいなと思います。

浮田 今年、怜央だけユニバーシアードに出場しましたけど、いずれは3人で選抜に入りたいですし、2年後のユニバーシアードは絶対に出たいと思っています。そのためにはチームが優勝することも大事だし、個人的にももっと結果を出さないといけないです。

――最後に、旗手選手へのメッセージをいただけますか?
村松 負けたくない存在ですけど結局は同じチームなので、練習ではバチバチしながらも試合では息の合ったプレーをもっと見せていきたいですね。今はまだ僕のほうが怜央に助けられている比率が高いので、まずはフラットな関係になって、僕はDFとして後ろを支えながらいいボールを前線に供給して、怜央にはもっと点を取ってもらって。今以上にいい関係を築いていけたらなと思います。

浮田 怜央が僕の周りで動き回ってくれると僕も楽になるし、今日も助けられました。でも、もっとうまくやれれば今以上に2人とも点を取れるようになると思うし、怜央が目立たなくなるくらいの活躍をすることが今の僕の目標です。僕のパスで怜央に点を取らせてあげる、と言えるくらいに僕も活躍できるように頑張っていきたいと思います。

取材・文=平柳麻衣
写真=梅月智史

勝利を喜ぶ浮田と旗手[写真]=梅月智史

By 平柳麻衣

静岡を拠点に活動するフリーライター。清水エスパルスを中心に、高校・大学サッカーまで幅広く取材。

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