スピードに自信を見せる渡邉 [写真]=土橋岳(スポーツ東洋)
文=土橋岳(スポーツ東洋)
今季、で欠場した1試合を除く全試合に出場している渡邉拓也。昨年、リーグ戦出場なしという苦しい時期を乗り越え、スタメンを獲得した若武者が大学で得たものとは。
兄の影響でサッカーを始めた渡邉はFC東京U-18に入団。高校2年時には日本クラブユースサッカー選手権大会で準優勝と全国の舞台も経験した。そんな渡邉が東洋大学への進学を決めた理由は「FC東京U-18とサッカーが似ていたから」だと語る。どちらも後ろからボールをつないでいくスタイルであり、実際にやってみても似ていると感じた期待のルーキーだったが、待っていたのは苦しい現実だった。同じセンターバックである浦上仁騎、徳市寛人の壁は厚く、1年間で公式戦出場はわずか1試合。FC東京U-18では高校1年の時から出場機会があったため、渡邉にとっては初めての経験だった。しかし、この経験から「1年間でメンタル的に成長した」と振り返った渡邉は、1部リーグ参戦の今季、見事スタメンを獲得した。
しかし、それまでスタメンでの出場が少なかったため、まだ自信が持てない姿が最後尾にはあった。そんな彼を変えた試合が第91回関東大学サッカーリーグ戦第6節の流経大戦だ。それまで最多得点で首位を走っていた流経大相手に無失点で勝利。個人としても今ではプロの舞台でも出場しているFWジャーメイン良を相手になにもさせず、勝利に貢献した。また、この試合では「自分から周りを鼓舞することができた」とそれまでの自信のない姿とは一変。「これがきっかけでチームに馴染めた」と振り返った。
渡邉は自らのストロングポイントを「足の速さ」と分析する。「兄が陸上をやっていて自分も教わっていて、区で優勝もした」と言う渡邉は小学生の時から足の速さに自信があり今も変わっていない。また、対人での強さも彼の強さの1つだ。FC東京U-18では練習後に佐藤亮(明治大学)らと1対1をやっていたという。今季、1対1で負けるシーンはめったにない。そんな渡邉を古川毅監督も「周りを引っ張っていけるような中心選手になってほしい」と期待。「今までの東洋大では足元がうまくてもサイズがなかったりだとか、高さがあったらビルドアップに強さがなかったりとか、何か持っていたら何か弱みがある選手が多かったが、(渡邉は)総合力が高い選手」と能力の高さを称賛した。
サッカーは当然のことだが、失点しなければ負けることはない。来季、初のインカレ出場に向けて、どれだけ失点を減らせるかがカギになるだろう。成長した渡邉がチームを次のステージへ導く。
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