2020年11月、キャプテン翼サッカースクールとゴーリースキームが提携したGKスクール「キャプテン翼サッカースクールGK特別コース」がスタートする。指導を担当する澤村公康氏は、サンフレッチェ広島やロアッソ熊本といったJクラブのトップチームを始め、大津高校や浜松開誠館中学校・高等学校、浦和レッズや川崎フロンターレの育成組織、女子日本代表など、様々なカテゴリーでの豊富な指導経験を持っている。「GKはプラスのポジション」と語る澤村氏に、スクール立ち上げやGKというポジションに対する想いを聞いた。
インタビュー・文/池田敏明
写真/兼子愼一郎
――まず、澤村さんがサッカーを始めた時期ときっかけを教えてください。
澤村 小学生時代は野球少年で、中学も野球部に入ってプロ野球選手を目指していました。しかし、中学2年生の時に『キャプテン翼』が流行して、野球部のチームメートたちと「サッカーやろうぜ」という感じになり、サッカー部の練習を見に行きました。私自身、走ることが得意ではなかったので、フィールドプレーヤーが暑い中で走っている様子を見て「これは自分がやるものではないな」と思ったんですけど、GKの選手たちが砂場でダイビングの練習をしていたんですね。野球部では外野手をしていてダイビングキャッチが得意だったので、「これは楽しそうだ」と思って入部したのがきっかけです。
――最初からGKなんですね。
澤村 そうですね。GKにどんどんのめり込んでいきました。『キャプテン翼』には若林源三、若島津健というカッコいいGKがいて、私は若林くんに憧れていました。
――中学から始めたのでは苦労もあったのではないですか?
澤村 東京都の中学だったのですが、都大会で上位を争うような部活ではなかったこともあって楽しくスタートできましたし、当時はバックパスをキャッチしてもよく、足元の技術がそんなに高くない子がGKをしていた時代だったので、人並みに蹴れるようになれば通用する感じでした。逆に野球で培った空間認知力や球感がGKに生かされた部分もあり、中学2年の後半からは試合にも出られるようになりました。
――その後のキャリアを教えてください。
澤村 高校時代は三菱養和SCでプレーしました。中学時代の友人から「一緒にやらない?」と声を掛けてもらい、セレクションを受けて入りました。本格的なサッカーを一から高いレベルで学べたので、そこでの3年間は大きかったです。大学は体育教師を目指して仙台大学の体育学部体育学科に進学し、体育会サッカー部で4年間プレーしました。それから鳥栖フューチャーズ(現サガン鳥栖)に育成GKコーチとしてお世話になり、そこから指導者の道をスタートさせました。
――プロを含め様々なクラブやカテゴリーでGKを指導されてきましたが、指導するうえで共通するものはありますか?
澤村 GKはマイナスなポジションではなく、プラスのポジションだということを、どのカテゴリーでも同じように伝えています。外からのエネルギーでやるもの、受け身になるものではなく、自分から能動的に動いていく積極性が必要であり、自発的にプレーするのがGKです。そういったことを技術的にも戦術的にも、ジュニアにもトップにも同じように伝えています。
――澤村さんご自身が始めたころと比べて、GKのとらえ方が違うということですね。
澤村 そうですね。我々の頃はいいプレーをしても「ナイスキーパー」としか言われませんでした。私自身、現役時代は「ナイスキーパー」と褒められるのが好きではなかったんですよ。何がナイスだったのかを知りたいと思っていたので、私が指導する際は、子どもたちにもトップ選手に対しても、ただ単に「ナイスキーパー」とは言わず、何がどう良かったのかを具体的に伝えるようにしていますね。
――今回、どのような想いでゴーリースキームを立ち上げたのでしょうか。
澤村 過去に熊本の大津高校でGKコーチをしていた時は、同校のGKを成長させながら、熊本県全体のGKを成長させるのが私の仕事でした。ナショナルトレセンコーチで九州を担当していた時は九州全体のGKを育てていましたし、浦和レッズ時代は埼玉でもGKトレセンを立ち上げました。今年はJクラブに所属していないので、全国に発信していけるようなアカデミー活動をしていきたい、今までの自分の経験をできるだけたくさんの子に伝えたいと思ってスタートさせました。
2020年11月よりキャプテン翼サッカースクールでは、澤村氏が運営するゴーリースキームと連携し、『キャプテン翼サッカースクールGK特別コース』を開校する。澤村氏が子どもたち一人ひとりに直接指導を行っており、体験会ではコーチと子どもたちの楽しそうな笑顔が多いのが印象的であった。スクールの練習内容はGKの基本技術はもちろん、コーチングやDFとの連係など試合で活きるスキルに併せ、試合に向けての大きな自信が身につく、より実践的なプログラムを組んでいる。
GKという特別なポジションの指導を育成年代の早い段階から受けられる機会は少ないので、お子様がGKを任されているのであれば、一度、澤村氏の指導を体感していただきたい。
体験会の様子
By サッカーキング編集部
サッカー総合情報サイト