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【2022年大会】松本山雅FC U-12が大会連覇! 県大会のリベンジ果たす【JA全農杯全国小学生選抜サッカーIN北信越】

2022.03.16

 3月13日、『2022 JA全農杯全国小学生選抜サッカーIN 北信越』が富山県総合運動公園のファミリー広場と芝生広場で行われた。

 本来は12日、13日の2日間にわたって行われる予定だったが、新型コロナウイルス感染拡大防止の観点から1日での開催となり、グループステージを廃して全試合トーナメント形式となった。また、新潟県、長野県、石川県、福井県の予選を勝ち抜いた2チームずつ、そして開催権である富山県から4チームの合計12チームが参加する予定だったが、武生FC(福井県)とエヌスタイル(富山県)が残念ながら出場辞退となり、10チームによって争われた。

 負けたら終わりのトーナメント戦となったことで、1回戦からどの試合もスリリングな展開となった。惜しくも敗れてしまったチームの選手たちはピッチに伏して号泣するなど、この大会に懸ける思いが伝わるシーンが続出した。

 その中で決勝に勝ち進んだのは、初戦で伊井RXサッカースポーツ少年団(福井県)を7-0、準決勝でカターレ富山(富山県)を2-1で下したフォルツァ松本Jr(長野県)と、初戦が不戦勝となり、2戦目はKF3(新潟県)に2-0、準決勝はSoltilo Seiryoに3-1の逆転勝利を飾った松本山雅FC U-12(長野県)。奇しくも長野県大会の決勝と同一のカードで、ちなみにこの時は1-1でPK戦となり、4-3でフォルツァ松本が勝利している。

 北信越大会決勝での再戦が実現し、試合前から両チームの選手たちは「絶対勝つぞ!」「優勝するぞ!」と声をかけ合うなど、気合をみなぎらせていた。

 この大会は12分3ピリオド制で行われる。第1ピリオドと第2ピリオドはそれぞれ特定の8人がプレーし、5分間のインターバルを経て行われる第3ピリオドは第1、第2ピリオド両方に出場した選手を除いて選手の組み合わせ、交代は自由に行える。チームの総合力や戦略がカギを握るレギュレーションだ。

 第1ピリオドは松本山雅ペースで進んだ。最前線の内藤凰士郎や左サイドの吉澤凰河が何度も決定機を作ったが、フォルツァ松本の守備陣が体を投げ出してシュートを防ぎ、ゴールを許さない。

 第2ピリオドの立ち上がりはフォルツァ松本が攻勢をかけたが、先制したのは松本山雅。5分、右からのクロスを受けた中村裕之進が巧みにボールを操ってマークを外し、左足を一閃してネットを揺らした。

 勢いに乗る松本山雅はその後もビッグチャンスを作ったが、相手GKの好守で追加点ならず。すると11分、フォルツァ松本の藤田陽向が左サイドからカットインしてニアサイドを抜き、試合を振り出しに戻す。

 迎えた第3ピリオド、最初に試合を動かしたのはフォルツァ松本だった。2分にセットブレーの流れから山口颯馬が左足のシュートを決め、逆転に成功する。しかし松本山雅は渡邊創太がすぐに同点ゴールを奪い、主導権を渡さない。両チームとも選手交代は行わず、先発した8人ずつが死力を尽くして戦い続けたものの、どちらもチャンスを生かしきれず2-2でタイムアップ。県大会決勝と同様、PK戦に勝敗が委ねられることとなった。

 先攻の松本山雅は1人目、2人目と冷静にキックを成功。対するフォルツァ松本は2人目がGKのセーブに遭ってしまう。松本山雅の3人目はキャプテンの吉澤。「1人目(渡邊)が決めた時から『絶対に右に蹴る』という強い気持ちを持っていました」というキックは相手GKに反応されたものの、強い気持ちが勝ったのか、指先を弾いてネットに吸い込まれ、熱戦にようやく終止符が打たれた。敗れたフォルツァ松本は悔しさから、松本山雅はうれしさにより、多くの選手が号泣していた。

 松本山雅にとっては北信越大会の連覇と県大会決勝のリベンジを同時に果たす形に。矢田部匡監督は「ほっとしたところもありますし、『強い気持ちで臨もう』と試合前に話していたことを体現してくれました。成長を見せてくれた試合だったと思います」と選手たちを称えた。一方、敗れたフォルツァ松本の新村淳也監督も「全国につながる大会だったので敗戦は残念でしたが、これが勝負ですし、成長させてもらえたので感謝しかないですね」とコメント。勝者、敗者を問わず、全員がこの大会を通じて大きく成長したようだ。

 優勝した松本山雅FCは、5月に神奈川県で開催される予定の『JA全農チビリンピック2022 JA全農杯全国小学生選抜サッカー決勝大会』に北信越代表として出場する。「昨年は決勝大会が延期になり、結局、出場を辞退する形になったため、選手たちに申し訳ない気持ちがありました。その先輩たちのぶんまで一生懸命戦ってくれたらうれしいです」と矢田部監督が語れば、キャプテンの吉澤も「北信越のチームの代表なので、関わってくれた方にしっかり恩返しができるように頑張りたい」と並々ならぬ決意を見せた。

▼ 矢田部匡監督(松本山雅FC U-12)コメント
決勝は長野県大会と同じカードで、負けているのでリベンジしたい気持ちは私もありましたし、選手たちも強かったと思うので。(2連覇できて)ほっとしたところもあります。
準決勝の内容が少しちぐはぐで、先制点を取られて下を向いてしまう場面もありました。それでは長野県大会決勝からの成長がないという話をしたので、そこを乗り越えて勝つということも含めて成長を見せてくれましたし、この経験を次の成長につなげてほしいと心から思えたゲームでした。
昨年は決勝大会が延期になり、コロナ禍の影響を考えると連れて行ってあげるという選択肢を持つことができず、出場を辞退する形になりました。
仕方のない部分はありますが心の中に重いものがありますので、今回の選手たちは先輩の分まで一生懸命戦ってくれたらうれしいです。

▼ 吉澤凰河(松本山雅FC U-12)コメント
長野県大会決勝で負けてしまった相手にリベンジマッチで勝てて本当にうれしいです。
2度の負けは許されないので、みんなで『絶対勝つぞ』と声を掛け合っていました。
キャプテンなので、みんなのために点を決めなければいけないと思いながらも、一番大事なのは勝つことなので、みんなにしっかり声をかけることを心掛けました。PKは1人目が決めた時から『絶対に右に蹴るぞ』という強い気持ちでいました。GKが相手の2人目を止めてくれたので、キャプテンとして絶対に決めるぞ、と思って蹴ったので、うれしかったし優勝に繋がってよかったと思います。北信越の代表なので、フォルツァ松本をはじめ他のチームのため、保護者の方々のため、関わってくれた方にしっかり恩返しができるように頑張りたいです」

▼ 新村淳也監督(フォルツァ松本Jr)コメント
「国につながる大会だったので残念でしたが、これが勝負ですし、成長させてもらえたので感謝しかないですね。相手に勝つ前に自分自身に勝たなければならないという心の勝負をし、自分の心に負けずに自分のプレーを出してくれたので、悔しさはありますが、よく戦ってくれたと思います。松本山雅に対するライバル意識は、子どもたちの中には絶対にあると思います。でも、本質はそこではなく、勝負に勝つためにはどう準備をしてどう考えて、心をどう持っていくか。それが大切なことだと思っています。コロナ禍で大会をやらせてもらったことに対する感謝の気持ちを持ってほしいですね」

取材・文=池田敏明

全国9地区で開催される『JA全農杯全国小学生選抜サッカー』の模様は@zennoh_sportsにてTwitter速報を実施。

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