文・写真=安藤隆人
夏の風物詩、インターハイが間近に迫ってきた。今年は8月2日から9日まで兵庫県で開催。真夏の王者をかけた決戦を前に、“ユース教授” 安藤隆人氏が出場全55校を紹介する。
【九州・沖縄】鹿児島実業(鹿児島)2年連続26回目
選手権優勝2回、準優勝3回、ベスト4が3回。インターハイ準優勝1回、ベスト4が4回。これまで城彰二(解説者)、松井大輔、伊野波雅彦(ともにジュビロ磐田)、遠藤保仁(ガンバ大阪)と、4人のW杯戦士を輩出し、他にも那須大亮(浦和レッズ)、上本大海(ベガルタ仙台)、赤嶺真吾、岩下敬輔(ともにG大阪)などそうそうたるJリーガーを輩出している、名門中の名門だ。だが、昨年のインターハイに出場するまで、実に8年間も全国から離れていた。この低迷に終止符を打ったのが昨年のインターハイ。9年ぶりに出場すると、ベスト8まで勝ち進んだ。就任5年目の森下和哉監督の下、さらに鍛えられたチームは、今予選で準決勝で鹿児島城西を1-0で、決勝で神村学園を延長戦の末に撃破し、2年連続出場を決めた。
注目はセンターバックの大南拓磨(3年)とFW大下翔(3年)。プロのスカウトも視線を送る大南は185cmの大型だが、スピードがあり、読みもうまい。同じくセンターバックの山田正稔(3年)とのコンビネーションも良く、安定した守備を構築。攻撃は大下を軸に、MF仙波柊人(3年)、山口侑晟(3年)らがサイドを崩し、鋭いショートカウンターを見せる。名門完全復活に向けて、チーム史上初の夏の頂点を目標としている。
【九州・沖縄】大分(大分)3年ぶり10回目
熱血・朴英雄総監督に長年率いられた大分は、常に大分のサッカーをリードする存在だったが、一昨年、昨年と一度も全国大会に出られなかった。今の3年生は一度も全国を味わっていない年代だったからこそ、今年に懸ける思いは強かった。GK箱田悠祐(3年)、DF下田和輝(3年)、MF佐藤碧(3年)、三浦亮(3年)ら3年生が、DF前田優希(2年)、決定力の高いMF永松涼介(2年)、FW古田武尊(2年)ら個性派ぞろいの2年生を力強く牽引。新人戦では準決勝で昨年度のインターハイ出場の柳ヶ浦に2-1、現在選手権予選3連覇中の中津東に3-1で勝利して優勝。
今予選でも準決勝で柳ヶ浦を相手に、永松のゴールを守りきって、1-0で勝利。決勝では中津東に延長戦までもつれ込むが、延長後半にまたも永松が決勝ゴールを挙げ、1-0の勝利。県内2冠と3年ぶり10回目のインターハイ出場を果たした。この年代で初の全国では、これまでの思いをぶつける戦いを見せてくれるはずだ。
【九州・沖縄】那覇(沖縄)5年ぶり5回目
今年のチームは昨年のレギュラーが9人も残り、期待の世代だ。昨年、1、2年生主体のチームながら、インターハイ予選決勝に進出。決勝で前原に2-3で敗れたが、3点を先行されながらも、2点奪ってあと一歩まで迫った勢いがあった。今年に入ると、FW大濱海斗(3年)、MF大城竜真(3年)ら、経験を積んだ彼らがたくましく成長し、新人戦で準優勝。今予選決勝では、新人戦決勝で0-5の大敗を喫した那覇西を相手に、藤本凌(3年)の決勝弾で1-0と勝利し、5年ぶり5回目の出場を果たした。
那覇は県下有数の進学校で、多くの学者、教授、医者や政治家を輩出。中でも西銘順治(故人、本土復帰後第3代沖縄県知事)、稲嶺恵一(第5代・前々沖縄県知事)、仲井眞弘多(前沖縄県知事)、翁長雄志(現沖縄県知事)と、歴代の沖縄県知事を輩出する超名門校だ。ちなみに、お笑いコンビのキャン×キャン(長浜之人、玉城俊幸)も輩出している。