「完璧にイメージどおり」という一発で、勝負を決めた。
8月1日、第39回日本クラブユースサッカー選手権(U-18)大会の決勝が、ニッパツ三ツ沢球技場で開催された。クラブ日本一を決める一戦で、横浜F・マリノスユースが大宮アルディージャユースを5-3で破り、2年ぶり6回目の優勝を決めた。
先制しては取り返され、さらに2ゴールを追加しても追いつかれる展開。トップチームでベンチ入りの経験を持つ横浜FMのFW和田昌士が投入されたのは、3-3の同点にされた直後の60分だった。
「三ツ沢まで残ってくれた仲間に恩返しではないですけど、(負傷から)帰ってきていきなりメンバーに入ることで外れる選手もいるので、その分までがんばらないといけないと思っていた」
今大会初出場となった準決勝に続いての途中出場だったが、思いを表現するかのようなプレーを見せる。80分に坂内祐太の勝ち越し点に絡むと、83分には圧巻のゴールを叩き込む。左サイドでボールを受けると、ドリブルでペナルティーエリアに侵入。「中に入っていき、ファーサイドに巻くか、ニアサイドにズドン(と打つ)か迷いました」というが、右足での深い切り返しでマーカーを外すと、左足を振り抜いた。
ボールはブロックに入ったDFの股を抜け、GKの伸ばした手もかいくぐりゴールネットを揺らした。流れるような一連の動きも見事ながら、すべてが本人の想像どおりということには思わず舌を巻く。
「相手が足を出してくると思ったので、逆サイドに打ったら股を抜けて入ると思った。GKも股を抜いて反応しにくいと思うので、完璧にイメージどおりのゴール」
18歳とは思えぬ冷静さだが、ゴール後は一目散にスタンドに駆け寄り、メンバー外となった選手やサポーターたちと喜びを分かち合った。「1年生の時はほとんどスタンドから見ていましたが、3年生が優勝した時にやっていたのを見て『やりたいな』と思っていました」と笑顔でコメント。「(今大会では)今日メンバーに入っていない選手も得点していて、本当にベンチ外の選手も含めて全員で取った優勝」という言葉を象徴するかのようなパフォーマンスを見せた。