納得のMVPと得点王獲得となった。
横浜F・マリノスユースの優勝で幕を閉じた第39回日本クラブユースサッカー選手権(U-18)大会で、横浜FMのMF遠藤渓太が個人2冠を手にした。初戦の塩釜FCユース戦でハットトリックを叩き出すと、準々決勝まで5試合連続ゴールを記録。全試合でフル出場し、チームを2年ぶり6回目の頂点に押し上げた。
チームをけん引した遠藤について、横浜FMユースの松橋力蔵監督は「今大会において、爆発的な成長を遂げた選手」と語る。
「試合を決められる選手は非常に重要だと思いますが、今大会ではそういうシーンが非常に多く、プレーの自信から出てくる精神的な責任感も非常に大きく成長したと思う」
実際、当の本人も「グループステージを通して5ゴールを決めて、だんだんと意識が変わってきました」と、結果を残したことによる影響を口にする。大宮アルディージャユースを5-3で下した決勝でも、ゴールこそなかったが圧倒的な存在感を見せつけた。7分に左サイドのドリブル突破から阿部隼人の先制ゴールをアシストすると、51分にもインターセプトから渡辺力樹のゴールをお膳立てした。
圧巻は80分に坂内祐太がダイビングヘッドで挙げた決勝ゴールのシーンだ。左サイドでボールを受けると、ドリブルから左足で正確なクロスを坂内の頭にピタリと届けた。「どんなに悪い流れでも点を取ればこちらの流れになるし、そういう中で4点目をアシストできたのは良かった」と遠藤自身が振り返ったとおり、2点差を追いつかれた終盤での決勝アシストの価値は計り知れない。
そして、守備でもシュートブロックで大宮ユースの決定機を阻止する働きぶり。指揮官も、「結果を求めて、やるべきことを怠らない。泥臭いかもしれないが、あそこで止められるか止められないかが試合を左右する。それはオフェンスの選手でもディフェンスの選手でも関係ない」と評価を語る。
「『MVPも得点王も両方とってやる』と言っていたら、『それはズルいわ』と言われて(笑)」という、グループステージ終了後にチームメートとのやりとりがあったそうだが、攻守で存在感を見せつけた結果としての有言実行。見事に「ズルさなき」2冠獲得を果たした。