文・写真=森田将義
3度の選手権優勝経験を持つ清水商業と庵原が統合され、清水桜が丘(静岡)が誕生したのが2013年4月。現校名になってから、全国の舞台に立つのは今回が初。大瀧雅良監督は「名前が変わって、存在を忘れられているかもしれないから。忘れられないようにするにはがんばって勝つしかない」と表現し、勝利の味を噛みしめた。
6年ぶりのインターハイの初戦で対峙したのは水橋(富山)。この試合で、主役となったのは「走れるのに走らないから、ポテンシャルは高いのに評価されない」と指揮官が評すFW山田柊斗だった。
6分には相手DFのクリアミスをペナルティーエリアで拾って、右足一閃。11分にはDF水野歩夢、MF野木智大と右サイドをつなぎ、ゴール前に入った速いパスに対して、反対サイドからGKの前に飛び込んだ。一度は「深く入り過ぎた」とボールが背後を通過しかけたが、とっさにヒールでボールに合わせて、ゴールの左隅に。技ありの一撃で、2点差とし、「いつもと違って、この大会は35分ハーフと短い。先にバチンと殴った方が勝ち」(大瀧監督)という理想通りの状況に持ち込んだ。
入学直後から期待されながらも、2年生だった昨年は伸び悩み満足に出場機会を得ることができず。それでも、今シーズンは10番を託されたエースが大役を果たしたが、「3点目を取れば試合が終わったんだけど…」と悔やんだように、後半からは勢いが落ち、58分にはMF竹内陽平にFKを決められ、1点差に詰め寄られてしまう。失点直後は水橋に押し込まれる場面もあったが、再び立て直し、アディショナルタイムにはCKを途中出場のMF大屋寛が頭で合わせて3点目をマーク。3-1というスコアで、現校名での初勝利を飾った。
「失点の場面のように、うまくいかないとバタバタしちゃう」と課題もあったが、「暑さもあって、そう簡単ではない大会」で大瀧監督にとっては、6年ぶりの勝利を達成。“キヨショー魂、ここにあり”という事を示すに、価値のある1勝だったと言える。