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4試合で3度のPK勝ち、4強入り立正大淞南の南健司監督はオシム流

2015.08.07

文・写真=川端暁彦

 立正大淞南が「オシム流」でベスト4をつかみ取った。

 インターハイ準々決勝、島根代表・立正大淞南と鳥取代表・米子北の山陰決戦は35分ハーフを戦い抜いて決着つかず。0-0のままタイムアップの笛をきくこととなった。立正大淞南は4試合で3度目のPK戦である。結果はGK小笠姫馬がまたも相手のシュートをストップさせた一方、立正大淞南は全員が成功。「相手のほうがPK戦に慣れていた」と米子北の城市徳之監督を嘆かせる見事な“蹴りっぷり”だった。

 この様を、立正大淞南南健司監督は観ていなかった。

「ずっと前からPK戦を苦手にしていた。いつもPK戦で負けてね。『もう俺は5人のキッカーを決めるセンスがないんや』と思って、岩手インターハイ(1999年度)から選手に立候補させて(キッカーを)決めさせる方式に変えた。でもそれでもPK戦は本当に勝てなくて…」

 そのとき、南監督にヒントをくれたのがイビチャ・オシム氏だった。ジェフ千葉監督時代も日本代表監督になってからもPK戦を「観ない」のがオシム流だった。「オシムさんも『観ないほうが勝てる』とおっしゃっていて、もうこれしかない、と(笑)。本当は観たいですよ。今日もすごく観たかった。でも、観ないようにしました」と、スタイルを転換したのだ。

 過去には後悔もある。初めてベスト4に入った第89回高校サッカー選手権(2010年度)。滝川第二との準決勝もPK戦までもつれ込んだのだが、「あの場から去る勇気がなかった。あいつかっこつけているとか思われるんやないかとか考えてしまった」と言う南監督はPK戦を「観てしまって」敗戦。以来、「観ないほうが勝てる」との考えを貫いているのだという。

 4試合で3度のPK勝ちとなった今大会。35分ハーフの短期戦であるインターハイにおいて、PKの強さは絶対的アドバンテージである。4試合2失点の堅守を生かした戦いぶりで、インターハイと選手権を合わせて4度目となる全国ベスト4を勝ち取った。

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