【高校サッカー/注目選手】横浜創英高校が目指すポゼッションサッカーの中軸を担う宮島大知、市原亮太、池内龍哉

文・写真=平柳麻衣

GK宮島大知

 宮島大知は兄の応援のため、2年前に横浜創英高校が初めて出場した全国高等学校総合体育大会(インターハイ)を観戦し、入学を決めた。ポゼッションサッカーを目指す横浜創英高にとって、足元の技術に長けているGKは貴重な存在だ。「キックには自信があり、フィールドの選手とボールを回すのも、前線に飛ばすのも得意。センターバックと横並びになってボールを受けても、怖さはあまり感じない」と宮島。宮澤崇史監督は、「宮島がいることで、DFラインが落ち着いてボールを動かせるようになった」と語る。

 目標に挙げる選手は、同じ神奈川県に所在する桐蔭学園高校のGK早川友基だ。「昨年、地区トレセンに一緒に選ばれて、自分もビルドアップやキックには自信を持っていたけど、全然歯が立たなかった。同年代の中では一番の目標だし、越えたい」と、ライバル心を隠さない。理想は県大会で両校が勝ちあがり、直接対決を制することだ。

 平成27年度第94回全国高等学校サッカー選手権大会神奈川県2次予選終了後に始動した新チームでは、副キャプテンを務める。「自分が後ろから声を出して盛りあげなきゃいけないし、特に失点した時は、GKの自分が落ちこんではいけない」と、頼もしい顔つきで語る。

「まずは県で1位になって、もう一度全国に行きたい。自分たちの代でやってやろうという気持ちはあるし、関東大会もインハイも選手権も、全部狙っていく」。同校2度目の全国大会出場をつかむため、宮島がゴールマウスに立ちはだかる。

DF市原亮太

 市原亮太のセンターバック歴は約1年。それ以前は、ボランチを主戦場としていた。しかし、高校1年の秋に紅白戦でセンターバックを試されると、そのまま定着。「センターバックは向いていないと自分では思っていたので、ちょっと驚いた」という想定外のコンバートは、市原にとって良い転機となった。

 長身だが、空中戦よりもボランチで培った足元の技術と視野の広さを持ち味とする。宮澤監督も「ボールをしっかり供給できるロングフィードと、ゲームをうまくコントロールできる戦術眼。そして何より、ハングリー精神が強い」と評価する。

 初めは戸惑いを感じていたセンターバックも、今では「ボランチよりプレッシャーが来ないので、縦パスでゲームを組み立てたり、ロングボール1本で得点につなげたり、自分のやりたいプレーができるところにやりがいを感じる」と語る。

 新チームでは、キャプテンに就任した。理想のキャプテン像には、元イングランド代表のスティーヴン・ジェラードの名前を挙げる。「キャプテンはみんなの手本にならないといけない。ポジションは違うけど、ジェラードのチームを鼓舞する姿を見習いたい」

 今年度の平成27年度第94回全国高等学校サッカー選手権大会は神奈川県2次予選の初戦で無念の敗退となったが、「2年生が主体だったので経験が足りなかったけど、その分、来年はチャンス。1日1日を大事にして、全国に行けるようにがんばっていきたい」と前を見据える。誰からも慕われるキャプテンを目指す「チーム一の努力家」(宮澤監督)が、横浜創英高をけん引していく。

MF池内龍哉

 宮澤監督が「間違いなく、これからチームの軸になっていく」と期待を寄せるのは、1年生MFの池内龍哉だ。「まだ1年生なので足りないところもたくさんあるけど、サッカーセンスはチームでナンバーワン。技術があるので余裕を持って周りを見ながら、しっかりボールを操れる」とし、攻撃のキーマンに挙げている。

 1年生の試合ではサイド、Aチームの試合ではボランチなど、「いろんなポジションを高いレベルでこなせる」(宮澤監督)選手だ。池内自身も「小さい頃から複数のポジションをやらせてもらって、中学生の時には最終ラインもやっていた。だから、いろんなポジションの特性がわかる」と自信を持つ。試合の中では数多くボールに触れ、アイデアあふれるプレーで攻撃を展開していく。

 高校を選ぶ際には、地元の神奈川県から出ることも一時は考えたという。しかし、「神奈川で勝てれば全国でも勝てる」と、レベルの高い神奈川県でプレーすることを決意した。「中学生の時のチームもパスサッカーを主体としていたので、高校でも似たような形でプレーできて、今はすごく楽しい」

 目標はアンドレス・イニエスタ(バルセロナ)や中村俊輔(横浜F・マリノス)のような、自分でボールを前に運ぶことも、パスを展開することもできる選手。「常に味方が自分を見てくれるような選手になりたい。このチームはもっと強くなれると思うので、全国に行きたい」。伸びしろ豊富な1年生が、チームとともに成長を遂げていくのが楽しみだ。

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