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6年ぶりの全国出場が目前の帝京。夏場の成長を経て、リベンジマッチとなった“十条ダービー”を制す

2015.11.09

文=酒井伸、写真=渡辺裕子

「両チームとも互いを知り尽くしているので、ガチンコ勝負。グラウンドを貸してくれたり、一緒に練習をしたりしている」。試合後に話したのは、帝京高校を率いる日比威監督だ。

 ともに東京都板橋区に学校がある、帝京と東京朝鮮高校。今年度の成績を見ると、平成27年度東京都高等学校総合体育大会二次トーナメント2回戦(インターハイ予選)で、延長戦にまでもつれる打ち合いを制したのは、東京朝鮮だった。今回は、平成27年度第94回全国高等学校サッカー選手権大会東京都大会2次予選Bブロック準決勝で激突し、味の素フィールド西が丘にて、“十条ダービー”を繰り広げた。

 東京朝鮮は、チリで開催されているU-17ワールドカップに北朝鮮代表として参加していたFWリャンヒョンジュが戻り、攻撃の中心を担った。前半をスコアレスで折り返した48分、リャンヒョンジュのCKからDFペクスンホが合わせ、東京朝鮮が先制する。

 帝京にとっては、「気をつけよう」と、日比監督が注意していたセットプレーからの失点。「昔のようにスーパースターがいるわけではないけど、3年生を中心にまとまっている」と語ったように、この先制点をきっかけにキャプテンを務めるMF長倉昂哉を筆頭にチームが一丸となる。すると、67分にMF浅見颯人が同点弾。75分には、2年生でキッカーを任されているMF中瀬大夢の正確なキックにMF平井寛大がヘディングで合わせて逆転に成功。2-1で帝京がリベンジマッチを制した。

「チャンスを決められていない」。日比監督が嘆いたように、決定的なチャンスを何度も迎えながら2得点にとどまった。しかし、逆転勝利を収め、勝負強さは見せた帝京。そのわけは、8月に参加した全国の高校やJユースの強豪36チームが集まる和倉ユースサッカーフェスティバルにある。石川県まで遠征をし、ヴィッセル神戸U-18や青森山田高校らに勝利したことで、手応えをつかみ、4日間の大会で自信を深めた。所属する高円宮杯U-18サッカーリーグ東京1部(T1リーグ)では、それまで6勝2分け5敗と沈んでいたが、夏の和倉ユース以降は3勝2分けの無敗で、最終的には5位でリーグを終えた。

 第53、56、58、62、63、70回大会。これらの大会で、帝京が全国高等学校サッカー選手権大会で優勝を果たした。しかし、88回大会以降は全国大会出場が途絶え、前回大会の93回大会は1回戦で日本学園高校にPK戦で敗れるなど悔しい年月を過ごしてきた。

 今年、6年ぶりの全国大会出場まであと一歩に迫った“古豪帝京”。迎える相手は、T1リーグで2戦2分けと決着がついていない、國學院久我山高校。「過去の栄光は忘れて、チャレンジャーとして決勝に臨む」と、聖地西が丘での決勝戦に向けて、日比監督は力強く意気込みを語った。

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