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「自分たちがうまいと思いこんでいる」…基本に返った前橋育英が大きく成長

2015.12.26

文・写真=安藤隆人

 春先の彼らを見た時、「どうなってしまうんだろう?」と率直に思った。渡邊凌磨(インゴルシュタット/ドイツ)、鈴木徳真(筑波大学)という、U-17、18日本代表選手が卒業し、ともに多くのレギュラーの3年生が卒業した。FW野口竜彦、FW横澤航平など能力の高いタレントはいるが、それが組織として噛みあっていなかった。
山田耕介監督も「厳しいね。やれなければいけないことができていない。時間がかかるね」と口にしていた。しかし、それと同時に「タレントはいるんだよ。まとまれば、すごくいいチームになる可能性は十分にある」と手応えも感じていた。

 この名将の先見の明は、彼の綿密な強化プランによって昇華されようとしている。全国高等学校総合体育大会(インターハイ)予選こそ決勝で桐生第一高校に敗れたが、全国大会のない7、8月に山田監督は彼の意識改革と『基本』を徹底的に植えつけた。「自分たちがうまいと思いこんでいる。そうではない、うまさを出すには基本ができていないとなし得ない」

 意図が含まれた正確なトラップ、狙ったところにしっかりとボールが蹴れる技術。シンプルなトレーニングを繰り返し、徹底して行った。最初は半信半疑だった選手たちも、試合をこなすごとにその成果を実感していく。

「狙ったところに出せるし、スムーズに次のプレーに移行できる。連携がスムーズになったし、自分たちのイメージを表現できるようになった」(横澤)

 みるみる向上していくチーム力。プリンスリーグ関東(高円宮杯U-18サッカーリーグ2015)では順位を上げて2位でフィニッシュ。選手権予選も決勝で桐生第一にリベンジを果たし、2年連続19回目の出場を果たした。

「もっと良くなるよ」。山田監督の手応えはこんなものじゃない。選手権ではさらに成長した彼らが見られるはずだ。名将の先見の明がそれを物語っている。

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