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アンカー鍬先祐弥が大車輪の活躍…東福岡が17年ぶりの決勝進出/選手権準決勝

2016.01.10

文=安藤隆人(提供:ストライカーデラックス)

 東福岡高校の攻守の要を担うMF鍬先祐弥が、今大会初ゴールをたたきこんだ。

 彼は伝統の[4-1-4ー1]システムのアンカーという重要な責務を任されている。展開力が持ち味の彼は、「僕の役割は中盤の球際で負けないこと、なるべく前に前にボールを運ぶこと。この2つを意識した」と、1回戦から攻撃の起点として全体をコントロールするだけでなく、積極的に2シャドーを追い越して、バイタルエリアに顔を出し続けた。ゴールこそ奪えなかったが、相手は後方から湧きでて来る彼を捕まえきれず、しばしばマークが混乱していた。

 そして、貫き続けたその姿勢が、準決勝の大舞台でついに結実をした。立ちあがりから持ち前の展開力はもちろんのこと、積極的な出足で前半からバイタルエリアに顔をだしていく。

「前半から効果的にボールを動かせていた」と語ったように、ボランチの鍬先、藤川虎太朗中村健人の2シャドーを軸に、パスワークで攻撃を構築すると、前半終了間際に藤川が先制点を挙げて、試合を有利に進めた。

「後半は絶対に前のスペースが空くと思っていた」と、虎視眈々とチャンスを狙っていた鍬先に、待望の瞬間が訪れる。57分、中村のパスを受けた三宅海斗が前を向くと、バイタルエリアにスルスルと顔を出す。三宅のパスを受けると、「自分の前にスペースがあったので、ボールをもらったらシュートというイメージしかありませんでした」と語ったように、すぐに前を向いてドリブルで仕掛け、対峙したDFをワンフェイントではがすと、ミドルシュートを放つ。これがゴール右隅に決まり、貴重な追加点を奪った。

 その後も危なげないプレーを披露してフル出場し、第77回大会以来、17年ぶりの選手権決勝進出に貢献した。

 彼はこれまで全試合フル出場。安定感抜群で波のないプレーは、名門のアンカーとしてふさわしい活躍ぶり。長崎南山中学校から、多くのチームメートがそのまま高校に進む中、東福岡を選んだ鍬先は、今や『赤い彗星の要』となっている。そして、この試合でゴールを決めたことで、その存在感はより輝きを増した。

「このゴールは本当に自信になりました。このまま有終の美を飾って、今も連絡や激励をくれる長崎南山中の仲間にいい報告をしたい」

 ちなみにかつての仲間が多くいる長崎南山高校は、今大会で初出場を果たしたが、初戦で桐光学園高校に敗れた。想いを託された彼は、最高の報告をすべく、ファイナルでより輝くことを誓った。

(コメント)
東福岡
森重潤也監督
 本当に勝ててよかったと思います。うちは夏冬連覇を目指しているし、星稜は2連覇を目指している。そこ見始めれば、プレッシャーを感じるので、そこを見ないように自分にもいい聞かせていましたし、選手にも伝えていました。今日の試合はウチらしく、最後のフィニッシュのところまで持っていけましたし、攻撃はできたと思います。後ろは星稜の攻撃をいかに止めるかということで、うまく抑えてくれたと感じます。

藤川虎太朗
 どこかでチャンスは来るからと呪文のようにいわれていたので、そのチャンスが今日きて、点数も取れてすごくうれしかったです。トレーナーさんの分まで絶対点を取ると思っていたので、本当にうれしかったしかったです。ずっと出られなかったので、ずっと点を取る、チームを勝たせる気持ちでいました。走りきろうと思っていました。選手権はやっぱり込みあげてくるものがありました。

鍬先祐弥
 相手がマンツーマンで来たのは想定内でした。ただ、もっと質の高いサッカーができたと思います。点を決めることが出できたのは自信になります。大舞台は緊張をしませんでした。(藤川)虎太朗も決めるべきところで決めてくれました。僕もあいつに負けたくないので、チャンスがあれば決めようと思っていました。虎太朗が活躍をしたら、自分も負けたくない。その気持ちが強いのでいい関係ですね。インターハイは虎太朗が爆発していて、一方で僕は調子がよくなかったので、すごく悔しい思いをしました。今回はあいつがけがをして、なかなか一緒にやれなかったけど、こうして今日スタメンで出て、やっぱりボールが回りやすくなるし、やりやすいですね。決勝はどっちが勝ち上がってきても、最高の形で締めくくりたい。

中村健人
 相手のセカンドボール、しっかり中盤でボールを拾うことを意識しました。それが勝利につながったけど、フィニッシュの精度が前半ダメでした。後半は徐々によくなって点数を取ることができました。中盤が少なかった分、ボールは持ちやすかったです。ゲームをしていても自分たちの方が有利に進めていると思いましたし、ペースを握り続けることが出できました。

星稜
河﨑護監督
 非常に残念でした。相手のワイド攻撃をつぶすということを3日間の練習でやってきました。中盤の相手の3枚に関しても、マンツーマンで守ろうと考えました。でも、ボールを奪われ、攻撃のミスも出てしまい、いい形に持っていけませんでした。助田(航平)と大橋(滉平)が相手についていけない状況になり、(前半は)無失点で終わって欲しいなと思っていた中で、得点を奪われてしまいました。

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ストライカーデラックス高校サッカー特集ページ(http://www.soccerstriker.net/html/matchreport/sensyuken94th/sensyuken94th_index.html

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