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神村学園・有村監督、恩師に捧げる勝利「鹿児島県勢として負けられなかった」

2018.01.01

髙橋(右)の一発で秋田商に勝利した神村学園 [写真]=兼子愼一郎

取材・文=河合拓(提供:ストライカーデラックス編集部)

 初戦での勝利に誰よりもこだわっていたのは、神村学園の有村圭一郎監督だったかもしれない。鹿児島実業在学時には、第74回大会に出場し、MF久永辰徳らとともに全国制覇を経験している。指揮官は、この試合に懸けていた特別な思いを試合後に明かした。

「今年は松沢先生が亡くなった年でもあります。松沢先生がつくった鹿児島の高校サッカーを継承する人もたくさんいます。全国で頑張っている人たちに、『頑張ってつなげていこう』というメッセージを少しでも伝えたかった。そういう思いで今日は戦わせてもらいましたし、選手たちにも『頼むから、今日は勝たせてくれ』と伝えていました」(有村監督)

 鹿児島実業を2度の選手権優勝に導き、前園真聖や城彰二、遠藤保仁、松井大輔ら、多くの日本代表選手やJリーガーを育てた松沢隆司監督は、今年8月に多臓器不全のために亡くなっていた。教え子の一人であった有村監督は「生徒の観察に優れていて、心を鍛えて戦える選手にしてくれる人でした。サッカーで何を教わったかはわかりませんが(笑)、ちゃんとピッチで戦える選手になるように導いてくださった」と振り返り、自身の指導もその色を受け継いでいると話す。

 そんな特別な思いを持っていた一戦だったが、試合は簡単なものにはならなかった。秋田商は豊富な運動量でプレッシングを怠らず、神村学園のプレーを制限してきた。さらに神村学園の選手たちは、緊張もあって普段のパスサッカーが展開できず、ドリブルを多用してしまい、攻撃が停滞した。「選手たちは硬くなっていて、視野が狭くなっていました。なんであんなにバタバタするんだと思って見ていました」と苦笑する。

 この1年、取り組んできた成果が出せない中でも、エースの髙橋大悟がゴールを決めて、先制することができた。しかし後半も神村学園の硬さは取れず、秋田商に主導権を握られ続けた。

「秋田商は最後まで運動量が落ちませんでした。ロングスローは警戒していたので、うちも守備で跳ね返せていましたが、後半はセカンドボールを拾われ続けて苦しくなりました。それだけ鍛えられていましたし、強かったですね」

 さらに後半20分を過ぎてからは、自陣で相手のアタッカーにパスを出して大ピンチを招く場面も散見。「何本も相手にパスをするから、お互いのユニフォームに白と赤が入っていて、わからなくなっていたのかなと思いましたよ。何度もやられそうになりましたが、よく凌ぎましたね」と、冗談めかして振り返る。そして「でも、最後は松沢先生も後押ししてくれていると思っていた」と、目を細めた。

「松沢監督は怖かったけど、温かかった。できれば僕も『厳しくても、自分のためを思って言ってくれている』と子どもたちに思ってもらえるような指導者になりたい」。そう話す有村監督は、かつての恩師のように、自身の教え子たちとともに日本一を目指す。

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