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貪欲にゴールを狙い続けた帝京大可児のエース、久保藤次郎

2018.01.01

徳島北戦で1得点の帝京大可児FW久保藤次郎 [写真]=平山孝志

取材・文=竹中玲央奈(提供:ストライカーデラックス編集部)

 勝者となった帝京大可児の2点目を決めた久保藤次郎が放ったシュートは計5本。チームが80分間で放った12本のうちの実に半分近くの数字である。

 堀部直樹監督は試合全体を通して選手たちの動きが「硬かった」と振り返ったが、小気味良いショートパスを中心に敵陣へ攻め込んでいくスタイルの帝京大可児の攻撃陣は、それぞれが自身の特徴を発揮していた。その中でも特に存在感を放っていたのが久保だった。左サイドから積極的にドリブルで仕掛け、シュートを放ったと思えば、中央にも入ってクロスに合わせるプレーも見せる。スタートポジションに留まることなく、得点の匂いを常に感じさせていた。

 前半31分にはボックス内左で徳島北の中道央樹との1対1を制すると、中道がたまらずファールを犯しPKを獲得。「相手の前の嫌なところにスピードを持って入っていく」というプレーが自身最大の武器と語っていたが、見事にそこからチャンスを生み出した。しかし、2点差をつけられる最大の決定機となったPKを失敗。「会場が静まり返ったのですごく緊張してしまった」と本人は振り返る。

 相手の戦意を削ぐ好機を逃してしまったことは非常に痛かったが、逆にこれによってエンジンが入った。前述したように縦横無尽にゴールの近くを動き回り、ネットを揺らしたい強い思いを全身で体現。なかなか報われなかったものの、終盤である後半36分に藤光翔のシュートのこぼれ球を豪快にたたき込んだ。

「ゴールを決めたときはやっと取れた、という気持ちと、遅くて申し訳ない気持ちの両方がありました」

 結果的に彼のゴールはこれのみで終わり、たしかにシュート本数やチャンスの数の考えると物足りないのは確かである。「全体的に見てプレーはかなりひどかったので、全然満足はしていない」本人がこういうのも納得だ。しかし、その貪欲さと技術は試合を通じて非常に際立っていたのも事実。勝利を収めながらも自身の心に残った悔しさや不満を、次の戦いにはぶつけてくるだろう。対戦相手の滝川第二にとって、彼は注意すべき存在だ。

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