2点目を決めた日本文理FW亀山来駆(左)と喜ぶ古木雄大 [写真]=山口剛生
取材・文=河合拓(提供:ストライカーデラックス編集部)
「亀山、ハンパないって!」
対峙した旭川実のDFが、高校サッカー史に残る名台詞の生みの親である中西隆裕だったら、試合後のロッカールームでは、そんな言葉が聞かれていたかもしれない。大迫勇也は後方からのロングボールをピタリと止めて、圧倒的なテクニックを見せたが、日本文理の亀山来駆が見せたロングボールの処理も驚異的だった。
前半25分、GK相澤ピーターコアミが自陣から蹴ったロングボールに最前線で反応すると、そのボールを背中でトラップ。地面に落ちたボールをコントロールすると、ドリブルでDFを切り裂き、利き足とは逆の左足でシュートを叩き込んだ。
「ギリギリまでボールを見て、体のどこかに当てて前に転がそうと思っていました。いいところにこぼれたので、あとはGKのニアが空いていることが確認できていたので、シュートのコース自体は甘かったのですが、冷静に決めることができました」と、勝利を大きく引き寄せた自身のゴールシーンを振り返り、胸を張る。
後半32分にも亀山はボールを受ける前のフェイクで優位に立つと、ボールを受けて一気に前進。シュートは左に外れていったが、決定的な場面をつくり出した。
2つの場面に共通するのが、ボールを受ける前の予備動作の巧さだ。ボールを受けた瞬間には優位に立てている。
例えば、浮き球のボールが来た際には、「ボールが浮いている間に相手に体を当ててキープするスペースをつくるようにしています。ボールを収めるときは収めて、はたくべきときは、はたく。できればターンして仕掛ける。時と場合によって工夫しています」と、パスを受ける前の予備動作とパスを受けたあとのプレーへのこだわりを話す。
その根底にあるのは、自分の背後で守ってくれているチームメートたちへの思いだ。
「後ろが頑張ってつないでくれているので、ちょっとでも前でタメをつくって、DFを休ませればと思っています」「後ろは絶対に失点をゼロに抑えてくれると信じているので、前が決めれば試合に勝てるので、決められるようにしています」と、守備陣への絶大な信頼を言葉にした。
初出場ながら2勝を挙げて、三回戦進出を決めたが、まだまだ満足はしていない。
「うちの応援は日本一なので、自分たちも日本一にならないといけないと思っています」と、力強く宣言した。
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