連覇を狙う山梨学院 [写真]=吉田太郎
連覇への第一歩を踏み出した第100回全国高校サッカー選手権大会山梨県予選初戦の笛吹戦(5-0)後、長谷川大監督は「試合をすることで成長するのが選手権だと思う。一試合一試合、全部大事にやっていかないといけない」とコメントしていた。
前回大会では、前評判が特別高かった訳ではない。全国大会は1回戦から2試合連続1-0で勝利。だが、山梨学院はその後、組織的な守備やセットプレーなど強みを発揮しながら二度のPK戦と1-0の接戦を制して決勝へ勝ち上がる。一戦一戦勝ちながら成長したチームは、劣勢が予想された決勝でも“ラスボス”青森山田にPK戦で勝利し、11年ぶりの日本一に輝いた。
今年は新人戦と関東大会予選を制した一方で、プリンスリーグ関東は最下位と苦戦。長谷川監督は今年のチームについて、「個々の能力を比べると、まだまだ去年の先輩に足りないところがある」と指摘していたが、同時に「でも、伸び幅なんですよね。彼らに期待です。選手権って、それがある」と期待する。
県予選では、全国連覇の重圧がかかるなか、準々決勝でインターハイ予選優勝の帝京第三にPK戦で勝利すると、韮崎との決勝でも延長後半に追いつき、PK戦で白星。先輩たちのような、逆境で強さを発揮するチームへ成長してきていることを示した。
守備陣に前回大会の“主役”GK熊倉匠(現:立正大)やDF一瀬大寿(現:山梨学院大)、DF板倉健太(現:東京国際大)のような個はまだ不在だが、それでも、相手の出方に応じて守る力が今年も備わってきている。前回大会で対戦相手の脅威となったCK、FK、ロングスローのセットプレーの質も向上。チャンスをモノにして勝ち切るサッカーを全国でも展開できるか注目だ。
中盤や前線にはタレントも擁している。前回大会優勝の経験者であるMF谷口航大主将(3年)は、守備範囲の広さや攻撃の起点となるパスなどを武器とするチームの生命線。同じく優勝メンバーのFW茂木秀人イファイン(3年)は、予選決勝で貴重な同点ゴールを決めるなどチームを救う存在となった。
ほかにも、運動量豊富で前回大会準決勝で先制点のMF石川隼大(3年)、強烈な左足を持つMF山口宇汰(3年)ら個性的な選手たちがいる。選手権で勝ちながら個人、チームとしても成長することができれば、今年も優勝争いに絡むチャンスは十分にある印象だ。
唯一、全国連覇の権利を持つ山梨学院。谷口は「2連覇」を目標に掲げる。厳しい戦いを乗り越えて、第1シードとして選手権に戻ってきた山梨学院が、勝ちながら成長を続け全国連覇を果たす。
取材・文=吉田太郎
By 吉田太郎