文=池田敏明 写真=兼子愼一郎
8月22日、全国6カ所で予選が行われている「COPA COCA-COLA 2015」の横浜地区予選がマリノスタウン/横浜みなとみらいスポーツパークで開催された。
この大会は「誰もが楽しめるサッカー大会!」をコンセプトにしており、女子選手2人以上を登録している中学生チームなら、どんなチームでも参加できるのが特徴だ。今年の大会から、8人制サッカーにバブルサッカーを加えたリーグ戦で優勝チームを決める形へとレギュレーションが変更された他、選手一人ひとりに「守護神」、「挑戦者」、「型破り」、「仕事人」などのロールが割り当てられ、参加する誰もが自分の役割に全力を尽くしつつ、心からサッカーを楽しむことができる。
地区予選のトリを飾る横浜地区予選には、梅中女子、王子桜中学校、川崎ウイングス&FC VIZOと3つの女子単独チームや、チーム結成からわずか2年、試合未経験というVivid Blue、少年団時代の仲間が再結成し、一つになる気持ちを経験したいというFCシリウス+など、様々なチームが参加。YNFCは昨年の横浜地区大会、午後の部で優勝した都築オールスターズの後輩たちで構成されたチーム。「天才肌」のロールを努める須磨岡優貴選手は「先輩たちから去年の話を聞いて、絶対に出場したいと思っていました」と、憧れの舞台に目を輝かせていた。王子桜中学校も3年連続の参加で、大会の知名度、浸透度が高まりつつあることを感じさせた。
大会アンバサダーを努める元日本代表MF、北澤豪さんの「それぞれの個性を最大限に生かしてください。そして大会終了時には、みんなが友達になってください!」という挨拶とともに、横浜地区予選がスタートした。8人制サッカーでは、女子単独チームの川崎ウイングス&FC VIZOが「女子選手のゴールは2点」という今大会特有のルールを生かして男女混成チームから勝利を挙げるなど、白熱した戦いが続く。ピッチサイドでライブ解説を務めた北澤さんも「あの子、めちゃめちゃ走るんだよな~」、「女子選手もうまいね。しっかりポジション取れてるよ」と、選手たちのプレーに賛辞を送っていた。
北澤さんは選手たちからも大人気で、試合の合間には選手たちに囲まれ、サインや握手、記念撮影に気さくに応じていた。8人制サッカーでのプレーを「あの子、天才!」と絶賛されていた洋光台FCの「天才肌」早坂龍斗選手は、ユニフォームにサインをもらって大喜び。「すごくうれしい。『サッカーはミスが多いスポーツだから、ミスをしても気にしないように』ってアドバイスしてもらいました。本当に参加できて良かった!」と、最高の笑顔を浮かべた。
バブルサッカーの会場も熱気に包まれた。バブル同士で激しくぶつかり合い、選手の足が上を向くほど回転しながらクルリと起き上ってプレーを続けるという予想外の動きの連続に、観戦している保護者の方々や控えの選手は大爆笑。場面を問わないハイテンションで大会運営者たちの人気者となった森ケ先の女子選手3人、「型破り」橋本千尋選手、「熱血漢」菊地夢夏選手、「天才肌」長谷川容選手は、ボールボーイを努めながらコートでプレーする他チームの選手に声援を送るというフェアプレーを見せてくれた。
参加選手全員がさわやかな汗を流した横浜地区予選、優勝したのは全員が3年生で、中学生活最後となる夏休みの思い出作りのために参加したsaltsだった。元サッカー部員が中心だが、部活やクラブチームでのサッカー経験を持たない選手が3人もいる中での見事な戴冠。引率責任者の丸山毅さんは「いわゆる“帰宅部”の子もいるんですが、この大会をきっかけにサッカーに興味を持ち始めたみたいです。元サッカー部の連中はもちろん高校でも続けると思いますが、もしかしたら彼も高校でサッカー部に入るかもしれませんね」と、選手たちの未来に思いをはせていた。
表彰式では上位チームの他、それぞれのロールで目立った活躍を見せた選手に贈られる「ベストロール」、女子選手の活躍が目立ったチームに贈られる「ガールズ賞」など、様々な個人賞、チーム賞も発表され、北澤さんから賞品が授与された。
また、全員での記念撮影の際には、大会期間中の8月10日に47歳の誕生日を迎えた北澤さんに、選手全員で『ハッピーバースデー』の歌と花束をプレゼントするサプライズも。開会式での北澤さんのコメントにあったとおり、同じ空間を共有し、汗を流した選手たちが、最後に一つになった瞬間だった。
なお、横浜地区代表となったsaltsは、9月26日(土)、27日(日)に静岡県の御殿場高原時之栖で行われる「COPA CAMP」に参加する。ここでの活躍次第では、12月に日本で行われるFIFAクラブワールドカップ2015でクラブ フラッグベアラーを務めるチャンスがある。saltsの「守護神」堀内拓斗選手は「御殿場でも勝利を目指しつつ、めいっぱい楽しんで来ます!」と、次の舞台に向けて強い意気込みを語ってくれた。