ユニバ男子、チームワークに一日の長…ブラジル下し、GL突破

文=川端暁彦 写真=六川則夫

 5日、大学スポーツの祭典『ユニバーシアード』の男子サッカー競技はグループリーグの第2戦(対ブラジル)を迎えた。ここから中1日の連戦が続くハードスケジュールも考慮し、神川明彦監督はターンオーバー策を実施。先発7名を大胆に入れ替えた布陣でこの試合に臨んだ。

 結果を先に言えば、まさに辛勝。「僕のイメージしている以上にボールを支配できなかった」と神川監督が嘆いたとおり、日本は相手の中盤にパスが引っ掛かるシーンが目立つ内容に。「無理にボールを(中央へ)入れてしまった」と指揮官が嘆くように、狙っていたサイドハーフからディフェンスラインを経由して逆サイドハーフへと回すU字型のボール回しはあまり見られず、不用意にボールを失う形から決定機も作られてしまっていた。

 日本のゲームプランは「前半ボールを動かせば、後半は絶対に相手の足が止まる」(神川監督)、「前半ゆっくりボールを動かして、後半は仕掛けていく」(MF端山豪)というもの。それだけに、「じっくりボールを持つのか、縦パスを狙っていくのか、チームとして若干バラついてしまった」(端山)ことでゲームの主導権を握ることはできなかった。FW呉屋大翔(関西学院大)がシュートミスを頻発していたように、第1戦は控えに甘んじていた選手たちの試合に対する強い気持ちが「力み」や「強引さ」として出てしまった面もあるかもしれない。

 プロ選手も参加していたブラジルは個々のフィジカル能力に優れ、主将のMFダ・シルバのような王国の残り香を漂わせるスキルのある選手もいた。ただ、チームワークに関しては日本に一日の長があり、0-0のまま緊迫した攻防が続きながらも、日本側に破綻の気配は乏しい。一方でなかなか相手ゴールに迫れなかったのも事実で、あとはどちらに「一発」が出るかどうか。そんな試合となった。

 そして、火を噴いたのはMF端山豪(慶應大)の右足だった。「自分としては(0-0でも)焦りはなかった。試合を通じて気持ちのコントールはうまくできていた」と語る名手が、ゴール前左寄りの得意な角度で得た直接FKを鮮やかに蹴り込で、日本に待望の先取点が生まれた。

 こうなると試合は日本ペースとなるはずだが、「バタバタしてしまった部分がある」と指揮官が言うように、屈強なFWアラウージョ・ピニェイロを投入してパワープレー気味に殴りかかってきた相手への対応に苦慮。思わぬ窮地も作られるなど、苦しい流れになった。ただ、ベンチから相次いで中盤に投入された奥山政幸(早稲田大)、木本恭生(福岡大)の奮戦もあり、何とかゼロでしのいでゲームセット。辛勝で勝ち点3を拾った日本が第3戦を待たずにグループリーグ突破を決めることとなった。

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